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地域地区を図でわかりやすく解説【地区計画とは違います!】

宅建勉強マン
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用途地域・高度地区・地区計画?色んな言葉があって難しい・・・

都市計画法の中で出てくる、地域地区(ちいきちく)は一体何を指すのでしょうか?

結論から言えば、地域地区は、良いまちづくりをするための細かいルールで、法律で定められています。

この地域地区の分野は、「地域」や「地区」という言葉が多く使われるため、最も混乱する分野の一つです。

今回は、その中でも地域地区の解説を行います。

仮に、自分がその町の知事(市長)と考えて、良い街を作るとしたらどうするだろうか?と考えて勉強すると理解がはかどります。

地域地区の概要を理解しよう

まず、今の日本をざっくり大きく分けると、以下の2つに分かれます。

  1. 積極的にまちづくりをしていく地域(都市計画区域)
  2. まちづくりをせずに農業や自然の保護を行う地域(都市計画区域外)

しかし、これだけだと、ざっくりしすぎているため、街を作る人からすると、もう少し細かく規制をかけていきたい、と思うわけです。

そこで、次にこの都市計画区域を線引きして、以下のように分類します。

  • 市街化区域は、積極的にまちづくりを行う地域
  • 市街化調整区域は、まちづくりを行わずに農村を残しておく地域
  • 非線引き区域は、とりあえず今はそのままにしておこう、という地域

都市計画区域外も区分けして、準都市計画区域という地域も区分けします。

  • 準都市計画区域は、そのまま放っておくと、無秩序な乱開発が起きかねない区域に指定します。イメージは高速道路のインターチェンジの周辺です。

このようにして、日本の国土を有効利用して、ここは開発するところ、ここは開発をしてはいけないところ、というように区分けをしていきます。

しかし!

これだけで規制が足りれば良いですが、そうもいきません。

その時に出てくるのが地域地区の活用です。

地域地区は、さらに細かいルールを決めていくもの

上記で説明したように、地域地区は、区域を線引きした上で、さらに細かいルールを定めるためのものというイメージになります。

地域地区には合計で21の種類があります。

そのうちの代表的な一つが、用途地域です。

この用途地域は、市街化区域の中でさらに細かい規制をかけていくもので、それぞれの区域によって定め方が決まっています。

用途地域はどこに定めるのか

・市街化区域では、必ず定める

・市街化調整区域では原則として定めない

・非線引き区域でも定められる

・準都市計画区域でも定められる

用途地域は、低い建物しか建築できない第一種低層住居専用地域や、高層オフィスビルが立ち並ぶような商業地域などの合計13種類があります。以下の記事で詳しく解説しています。

【写真付】13種類の用途地域の覚え方をわかりやすく解説

つまり、第一種低層住居専用地域、というのは用途地域のうちの一つであり、用途地域は地域地区の名称の一つである、という理解になります。

用途地域の他の20種類は以下の通りです。

No地域地区の名称
1用途地域
2特別用途地区
3特定用途制限地域
4特例容積率適用地区
5高層住居誘導地区
6高度地区または高度利用地区
7特定街区
8都市再生特別措置法による都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区
9防火地域または準防火地域
10密集市街地整備法による特定防災街区整備地区
11景観法による景観地区
12風致地区
13駐車場法による駐車場整備地区
14臨港地区
15古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区
16明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区
17都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域
18流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区
19生産緑地法による生産緑地地区
20文化財保護法による伝統的建造物群保存地区
21特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区
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こんなにあるのか・・・

上記をわかりやすく大別すると、用途地域(1)と、それ以外の補助的地域地区(2〜21)に分ける事ができます。

特に、補助的地域地区の中でも重要となってくるものを抜粋しておきます。

補助的地域地区で覚えておきたいもの

補助的地域地区も、用途地域の中に定められるものであったり、用途地域外でも定められるもの、など分かれています。

それぞれ見ていきましょう。

用途地域内にのみ定められるもの

まずは、用途地域の中に定められるものです。

名称概要定められる地域
特別用途地区用途地域では規制しきれないものを補完して定める地区のことです。用途地域内
特例容積率適用地区土地の行動利用を図るために定める地区です。第一種中高層、第二種中高層、第一種住居、第二種住居、準住居、近隣商業、商業、準工業、工業地域
高度地区建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区用途地域内
高度利用地区建築物の容積率の最高限度および最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置制限を定める地区用途地域内
高層住居誘導地区住居と住居以外を適正に配分して、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するための地区①第一種住居地域②第二種住居地域③準住居地域④近隣商業地域⑤準工業地域で容積率の制限が40/10、50/10と定められた地区
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用途地域外でも定められるもの

用途地域が定められていないところでも、地域地区を定める事ができます。

名称概要
特定街区建築物の容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定める地区
防火地域・準防火地域火災の危険を防ぐために規制をかける地域
風致地区まちの風致を維持するため、より厳しい規制をかける地区
景観地区市街地の良好な景観の形成を図る地区
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用途地域外にのみ定められるもの

最後に、用途地域が定められていないところのみ、定められるものです。

市街化調整区域は除きます。

名称概要
特定用途制限地域良好な環境の形成や保持のために、建築物等の用途の概要を定める地区です。
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地域地区と地区計画の違いについて

また、地域地区と混同しやすいものに地区計画があります。

地区計画は、地区ごとにきめ細かいまちづくりを行って、住みやすいまちづくりを定めるものです。

地域地区は、都市計画区全体の発展を踏まえたものに対して、地区計画は、地区のきめ細かい実情に沿った計画をたてていくものになります。

地区計画は、計画です。

地区計画のイメージ

地区計画は、用途地域が定められている土地の区域においては、どこでも定めることが出来ます。

さらに、用途地域が定められていない土地の区域でも定めることが出来ます

注意!

地区計画は、用途地域が定められていない土地の区域でも定められる

地区計画の更に詳しい解説や全体像を知りたい方は、都市計画法の記事もご覧ください。

都市計画法とは?わかりやすく徹底解説してみた

まとめ

以上、地域地区について今回はまとめてみました。

最後にもう一度おさらいです。

まとめ

地域地区は21種類ある

地域地区は用途地域の定めがないところにも定められる

特定用途制限地域は、市街化調整区域をのぞく用途地域外にのみ定められる

混同しないように整理して覚えておきたい分野です。

こちらの本もおすすめです。

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