不動産の仲介業を始めたいとき、不動産を仕入れて何度も販売したいと思ったとき。
これらは、「宅地建物取引業」に該当しますので、営業の免許が必要です。
免許が無事降りれば、宅建業者には以下のような免許証が発行されます。
どこの不動産会社の事務所も、この免許証が飾ってあります。
この宅建業免許の有効期間は5年間になります。更新をする場合は、有効期間満了の90日前から30日前までに行います。
しかし、その更新期間の前に諸事情で、免許証の内容に変更があったとき、免許を受けている宅建業者は、変更の届出、あるいは免許換えを行わなくてはなりません。
似ているようで別物ですので、区別して覚えておく必要があります。
変更の届出・・・ある一定の事項に変更が生じたときに免許権者に届け出をすること
免許換え ・・・事務所が廃止、移転、新設したときに新しく免許を発行してもらうこと
それぞれの違いについて解説します。
宅建業者の変更の届出について
免許権者は、宅建業者に免許を与えると、免許書の交付とともに「宅地建物取引業者名簿」に一定の事項を登載しなければなりません。
例えば、大阪府で免許を受けている場合は、大阪府知事が、名簿に一定の事項を登載します。この名簿は一般の人でも閲覧できるようにしなければならない、と法律で決まっていますので、誰でも見ることができます。
名簿に登載するべき事項は以下の8つと決まっています。
名簿の記載事項(宅建業法第8条)
- 免許証番号・免許の年月日
- 商号または名称
- 事務所の名称・所在地
- 宅建業者が法人の場合、役員・および政令で定める使用人(支店長)の氏名
- 宅建業者が個人の場合、個人および政令で定める使用人(支店長)の氏名
- 事務所ごとにおかれている成年者の専任宅建士の氏名
- 指示処分・業務停止処分の年月日・内容
- 宅建業以外の兼業
先ほど述べたとおり、これらは一般公開されています。
イメージを掴むために、以下のサイトで知っている不動産会社を試しに検索すると良いでしょう。
・宅建業者等検索システム(国土交通省)
変更の届出とはこれらの項目に変更があった場合に届出をしてくださいね、という制度です。
上記で色をつけた部分、2〜6に関して変更があった場合、30日以内にその旨を免許権者に届け出なければなりません。
変更の届出
宅建業法第9条
宅地建物取引業者は、前条第二項第二号から第六号までに掲げる事項について変更があつた場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
なお、これらは、免許を許可されている自治体のホームページから書面をダウンロードすることができます。
実物の変更届出書は以下になります。(大阪府より引用)
宅建業者の免許替えについて
免許換えは、事務所が新しくできたとき、廃止したとき、移転したときなどで現在の免許と合わなくなったときにする手続きです。
免許換えが必要なパターンは3つありますので、それぞれ図解してみます。
- 国土交通大臣免許を知事免許に免許換えする場合
宅建業者は、移転先の大阪府知事に直接申請します。大阪府知事は、免許をした旨を遅滞なく国土交通大臣に通知します。
- 知事免許の管轄が別になる場合(例:大阪から東京)
宅建業者は、移転先の大阪府知事に直接申請します。大阪府知事は、免許をした旨を遅滞なく東京都知事に通知します。
- 知事免許から国土交通大臣に免許換えする場合
宅建業者は、移転先の大阪府知事を経由して、国土交通大臣に申請します。国土交通大臣は、免許をした旨を遅滞なく大阪府知事に通知します。
なお、有効期間は免許換えをしてから5年間有効になります。
免許権者が変わり、免許証番号も変わります。
なお、免許換えが必要にも関わらず、免許換えがなされない場合、必ず免許は取り消されます。
参考に、実際の書式を載せておきます。
宅建業者の廃業等の場合
また、新設でも移転でもない場合には、廃業等の届出をしなければなりません。
具体的には以下のようなケースです。
届出の必要な場合 | 誰が届出をする? | 免許はいつ失効する? |
---|---|---|
①死亡 | 相続人 | 死亡のとき |
②合併 | 消滅した会社の代表役員 | 合併のとき |
③破産 | 破産管財人 | 届出のとき |
④解散 | 清算人 | 届出のとき |
⑤廃業 | 個人又は代表社員 | 届出のとき |
届出をする人は、届出をする必要のある出来事がおきてから、30日以内に届出をしなければなりません。死亡の場合は、相続人がその事実を知った日から30日以内です。
免許が失効すると、宅建業者ではなくなります。しかし、失効した時点で取引をしているお客さんがいると困ってしまいます。そこで、そのお客さんとの取引については、取引終了まで、この取引の範囲内では宅建業者とみなます。
免許が失効すると、宅建業者ではなくなります。しかし、失効した時点で取引をしているお客さんがいると困ってしまいます。そこで、そのお客さんとの取引については、取引終了まで、この取引の範囲内では宅建業者とみなされます。
廃業届出は以下のような書式で行います。
宅建業者の変更の届出と免許換えのまとめ
以上、今回は変更の届出と免許換えについてまとめてみました。
似ている概念ですが、別物として区別しておく必要があります。
最後にまとめです。
- 変更の届出は、免許権者は変わらない!
- 免許換えは免許権者が変わる!
しっかりと覚えておきましょう!