特別用途地区ってなに?
特別用途地区(とくべつようとちく)とは、都市計画に定められた地域地区の一つです。
用途地域に重ねて指定されるもので、それ以外の用途地域外に指定されることはありません。
用途地域には、低い建物しか建てることができない低層住居専用地域や、工場しか建てられない工業専用地域、など合わせて13種類のものがあります。
その用途地域にプラスアルファして、よりきめ細かい制限(または緩和)を決めていくために設定される地区を、特別用途地区、といいます。これは市町村が指定します。
今回は、特別用途地区のイメージを掴むために、代表的な11種類の例をご紹介します。
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目次
特別工業地区
まず一つ目に、特別工業地区とよばれるものがあります。
例えば、埼玉県川口市の八幡木地区や、東京都港区にも港区特別工業地区建築条例が定められています。
特別工業地区は、中小工場が多いエリアで、産業をより振興させるために市区町村が定めた地区のことです。
下記の2種類があります。
地場産業保護型 :準工業・商業・住居系の用途地域内の制限を緩和するもの
埼玉県川口市のホームページによると、工場の利便の増進及び地域住民の生活環境の保全を図るために定められている、と表記されています。
特別工業地区(八幡木地区)※地場産業保護型

東京都の第1種及び第2種特別工業地区は前者のものを指します。
文教地区

例えば、下記のようなエリアが挙げられます。
北海道、東北・・・札幌駅・東北大学周辺
東京・・・東京大学、学習院大学、立教大学周辺、
関西・・・奈良学園町、神戸研究学園都市、びわこ文化公園界隈
文教地区は、教育地区が多く、学校・図書館・博物館などの施設が集まっている地域のことを指します。
教育、研究、文化活動のための環境の維持向上を図るために設定されます。
ここでは、風俗営業や映画館・ホテル等が禁止されます。
住宅や事務所の建築すら禁止される例(幕張新都心文教地区)もあります。
小売店舗地区

食料や衣料品以外の、キッチン用品・文房具などの小売店舗が集まる商店街などの地区をいいます。
環境の維持や向上を目的として、ホテルやキャバレー、デパートなどの建築が規制されます。
事務所地区

事務所や行政機関、または企業を特定のエリアに集めて事務効率の向上を図ることを目的とした地区です。
厚生地区

住宅地等の内、医療施設、保育所、母子寮等がある地区を対象に、厚生施設の集積の促進と環境を保護する目的で指定されます。
パチンコ店や風俗店の進出を規制します。
娯楽・レクリエーション地区
例えば、京都市太秦(うずまさ)でも太秦娯楽・レクリエーション地区地区計画が指定されています。
商業地域の内、娯楽施設やレクリエーション施設の集積の促進と、環境の維持を図る目的で自治体が指定します。
以下の2種類のタイプがあります。
レクリエーション環境保全型:遊園地等がすでに存在する住宅地や海浜部を対象としたもの
太秦娯楽・レクリエーション地区地区計画

それぞれの目的に沿って、用途地域の規制が緩和又は強化されます。
観光地区

温泉地・景勝地など観光地の観光施設の維持・整備を図るための地区です。
例えば、北海道函館市にも、観光地区が指定されています。

特別業務地区

例えば、山口県防府市や、大阪府箕面市の大阪船場繊維卸商団地(コム・アート・ヒル)も特別業務地区として指定されています。
商業地の内、 卸売業務機能や自動車サービス機能の増進と環境維持のために市町村が指定します。
以下の2種類があります。
沿道サービス施設誘導型:自動車サービス施設の集積度が高い地区を対象としたもの。
後者の場合、自動車関係工場に対する準工業地域の規制が緩和される一方、一般工場に対する規制は強化される。
例えば、山口県防府市では、印刷用インキの製造工場、めつき工場、絵の具または水性塗料の製造工場の建築物はNGなどと決められています。
中高層住居専用地区

大都市の都心部の夜間人口の過疎化対策の一環として、一定地域のビルの中高層階の用途を住宅に限定し、住民の増加・定住化を図るための地区です。
例えば、東京都港区では港区中高層階住居専用地区建築条例が定められています。
キャバレー、料理店、個室付浴場等の用途に供する建築物などはNGとなっています。
商業専用地区

例えば、横浜の「みなとみらい21」や千葉の「幕張メッセ」などの、店舗・事務所等が集中する市街地のことを指します。
その他の用途を規制し、大規模ショッピングセンターや業務ビルの集約的な立地を保護・育成するための地区です。
研究開発地区

研究開発地区は、例えば、福岡県飯塚市に指定されています。
製品開発の研究所や研究開発施設の集積を図り、これらの施設に係る環境の保護及び利便の増進を図るために指定されます。
ここでは、研究環境に支障がある工場や、大規模な集客施設(レクリエーション施設)などの立地が制限されます。
まとめ
以上、上記で解説した11種類以外にも、自治体によっては特別用途地区が存在します。
1998年(平成10年)の都市計画法改正により、その種類や名称も地方公共団体で自由に定めることができるようになりました。
写真がイメージの手助けになれば嬉しいです。