住宅瑕疵担保履行法ってなに?
住宅瑕疵担保履行法を簡単に言うと、新築住宅を購入した消費者を守るための法律です。
この法律ができたのは一つのとある大きな事件がきっかけです。
一級建築士が構造計算書を偽造した【ヒューザー・姉歯 マンション耐震強度偽装問題】という事件があり、マンションに耐震偽造がある事が発覚しました。
耐震強度不足があれば、本来保証するべきですが、販売会社はそのまま倒産してしまいました。
当時は法律も整っておらず、マンション購入者の多くは、高額な住宅ローンがあるまま住いを失い、大きな社会問題となりました。
そのような経緯から、平成19年5月、住宅瑕疵担保履行法(正式名称:特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)が成立し、公布されました。
また、「瑕疵」という言葉について、民法の改正により「不適合」と変更になりましたが、住宅瑕疵担保履行法内では「瑕疵」という言葉が据え置かれています。
住宅瑕疵担保責任とは?
この法律は、新築住宅購入者の保護が目的で、売主となる宅建業者や建築業者が資力を確保して、万が一倒産しても消費者が守られるようにするものです。
新築住宅とは、建築完了から1年が経っていない、かつ誰も住んだことがない未入居の状態であることを指します。
資力確保は、誰に?どのような場合に?行わなければならないかを整理します。
対象者 | 宅建業者・建築業者(信託会社も含む) |
対象物 | 新築住宅(中古住宅や事務所はNG) |
対象部分 | 構造耐力上主要な部分、および雨水の侵入を防ぐ部分 |
対象取引 | 対象取引:業者が自ら売主となる場合で、宅建業者以外が物件を購入する時 |
また、資力確保措置の義務を負うのは売主であり、間に入る仲介業者はその義務を負う必要はありません。
これらの状況をしっかり理解することが大切です。
住宅瑕疵担保責任の方法
それでは、売主となる会社はどのようにして責任を負うのでしょうか?
以下の2つのどちらかを選択します。
- 保証金の供託
- 保険契約の締結
それぞれを解説します。
保証金の供託
売主の業者は、保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に金銭・または有価証券で供託します。
供託をしたら、免許権者に届出を行います。
なお、会社所在地の住所を入力していくと、自動で届け出先を確認してくれる国土交通省のページもあるので貼っておきます。イメージがわきやすいかと思いますので、是非一度試してみてください。
この届出は、年2回の基準日(①3月31日、②9月30日)から3週間以内に行わなければなりません。
届出書の見本は以下のような書類になります。
供託の額は、過去10年間の新築住宅の供給戸数に応じて算出した額になります。
供託の届出がない場合、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新しく新築住宅の売買契約をすることができなくなります。
供託をしている場合は、契約までに供託所の名称や所在地等を書面で交付した上で説明しなければいけません。
この説明は宅建士でなくとも可能です。
供託額:基準日10年前の新築住宅の戸数に応じて計算した額(床面積55㎡以下の新築住宅の合計戸数=2戸をもって1戸)
供託方法:金銭または有価証券
どこに?:主たる事務所の最寄りの供託所
保険契約の締結
次に、保険契約の締結をする場合です。
国土交通大臣が指定した保険法人と「有効期間を引渡しから10年以上」とする保険契約を締結します。最大20年まで伸長することができ、10年より短い特約は無効です。
試験には出ませんが、国土交通大臣が指定する法人とは以下の通りです。
保険の契約は、住宅事業者が行います。
買主さんが保険に入るのではありません。
保険金額は2,000万円以上のものが対象です。
保険契約の場合は、宅建業者と保険会社が契約を締結すると、保険会社から保険証書というものが交付されます。この保険証書を買主さんに交付する必要があります(説明は必要ありません)
保証保険契約を講じる場合は、重要事項説明書の一部に、以下のように概要を記載することとなります。
まとめると、保険は以下の要件を満たすものでなければなりません。
保険料の支払いは売主である業者であることを約するもの
保険金額は2000万円以上
新築住宅引渡し後10年以上有効なもの
住宅瑕疵担保責任の内容
買主が、住宅の構造耐力上主要な部分に隠れた瑕疵を見つけた場合、以下の対応ができます。
- 契約解除(軽微なものを除く)
- 損害賠償請求
- 瑕疵修補請求
まとめ
住宅瑕疵担保履行法は、宅建試験では問45の指定席ですので、毎年出題されます。
中古住宅を販売する会社ではあまり目にすることが少ないですが、新築を取り扱う会社であれば、頻出の法律です。
是非理解にお役立ていただけると幸いです!