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【宅建】建築基準法の単体規定・集団規定とはなにか?わかりやすく解説

集団規定ってなに?

簡単にいえば、まちなかで建物を建てる時に守らなければならないルールです。

集団規定というのは、建築基準法の中での規制のことです。

まちのなか、というのは具体的に都市計画区域内(または準都市計画区域)のことをいいます。

このエリアは、人が生活していますので、建物を建てる時の決まりをつくらないと、まちの景観が崩れたり騒音に繋がったりします。

反対に、山奥で建物を建てても周りの住民に被害が及ぶことは少ないでしょう。

このように、人が住む場所では、まちなかの人々に配慮して建物を建てましょう!という規制を集団規定といいます。

反対に、建物単体にかかる規定のことを単体規定といいます。

単体規定・・・建物そのものの規定を定めたもの
集団規定・・・周囲の環境や近隣住民など集団の調和を図るための規定

建築基準法の集団規定の内容

集団規定には以下のような種類があります。

1)用途規制
2)建ぺい率
3)容積率
4)高さ制限
5)道路に関する制限
6)敷地面積の最低限度

ひとつずつ解説していきます。

用途規制

用途規制は、地域によって建てられる建物に規制がかかることをいいます。

例えば、閑静な住宅にパチンコを作ってはいけない、などの決まりがあることでよりよいまちづくりを実現していくものです。

例えば、用途地域のひとつに第一種低層住居専用地域という、低い建物しか建てられませんよ、というものがあるのですが、そこでは工場や大学を建てることは出来ません。

一つの敷地が2つの用途地域にまたがっている場合は、過半数を占める面積の用途地域の規制が適用され、用途地域ごとにルールが決められています。

用途地域のイメージはこちらもご参考ください。

【写真付】13種類の用途地域の覚え方をわかりやすく解説

建ぺい率

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積のことをいいます。

敷地面積・・・建物を建てる土地の面積
建築面積・・・建物を真上から見た時の面積

建夫ば、100㎡(約30坪)の面積を買って、60㎡の家を建てるとしましょう。

この場合、建ぺい率は60%になります。

建ぺい率=建築面積(60㎡)÷敷地面積(100)×100=60%

地域によって、建ぺい率の上限というのが定められています。

例えば、建ぺい率の上限が60%の地域では、上記で見た建物は建築OKとなります。

しかし、建ぺい率の上限が50%と定めあれた地域では、上記の建物の建築はNGになります。

容積率

容積率も建ぺい率同様に、法令で規制されています。

敷地面積に対する建築延べ面積の割合のことをいいます。

建ぺい率が「平面的」な広さを制限するものですが、容積率は「立体的」な広さの制限になります。

容積率はこのように考えます。

先ほどの100㎡の土地に1階部分60㎡、2階部分60㎡の建物を作ると考えてみましょう。

すると計算式は以下膿瘍になります。

容積率=延べ床面積(60㎡+ 60㎡ )÷敷地面積(100㎡)×100=120%

容積率も用途地域ごとに異なっていて、100%のところもあれば、500%のところもあります。

狭い敷地にものすごい高さの建物が経っていることもあると思いますが、そのような地域は商業地域である事が多く、高いビルが建てられたりもしています。

高さ制限

また、建てられる建物の高さも決まっています。

絶対高さ制限

絶対高さ制限は、その名の通り、建物の高さに制限があることをいいます。

第1種低層住居専用地域・ 第2種低層住居専用地域に適用されます。

建築物の高さは、10m以下、または12m以下のうち、都市計画で定められた方に制限されます。

10mはどのくらいの高さかというと、だいたい3階か4階建てになります。

一般的な住戸の場合は、これを超えることは珍しいと思いますので、まずクリアできるでしょう。

斜線制限

斜線制限は、周辺地域の採光や通風に支障をきたさないよう、建築物の各部分の高さ規制を行います。道路斜線制限、北側斜線制限があります。

道路斜線制限は、道路の日あたりの確保や、環境の確保を目的として設けられました。

建物が接する道路の反対側の境界線から勾配線を引き、その内側に収まる形で建物を建てなければなりません。

北側斜線制限は、北側の隣地の日当たりの悪化を防ぐために設けられています。

日影規制

日影規制は、北側の敷地の日当たりを確保するための制限です。

主に住居系の地域に適用されます。

これらの高さ制限は、行政により異なりますが、対象の役所で調べることができます。

埼玉県川口市の一例

埼玉県川口市

道路に関する制限

敷地と道路も建物を建てるために重要な要素です。

接道義務

建築物の敷地は、原則、減築基準法上の道路に2m以上接していなければならない、とされています。

しかし、周囲に広い空地があったり、特定行政庁が交通や安全に支障がないと認めたものは、この限りではないとされています。

接道義務がある理由は、火災や地震のために安全を確保するためです。人がすれ違うためには最低2m以上必要なのです。

また、地方公共団体は、学校や百貨店、病院などの特殊建築物や3階以上の建物、延べ面積が1,000㎡を超える建築物については、条例で必要な接道義務の制限を加えることができます。

2項道路の後退

2項道路は、みなし道路とも呼ばれ、建築基準法が定められた、1950年(昭和25)年に存在した道路で、既に建築物が立ち並んでいた幅員4m未満の道路で、特定行政庁が指定したものです。

このような道路は、セットバックとよばれる道路後退を行わなければなりません。

2項道路は道が狭いので、それを広げる必要がある、ということです。

セットバックについて
道路の中心線から2m下がった線が道路の境界線とみなされる
道路の反対側が川やがけ地等のときは、川・がけ地等の線から4m下がった線が道路の境界線とみなされる

道路はややこしいので、イメージをつかみたいかたは以下の記事もご参考ください。

道路内の建築制限

道路内には原則、建築物や擁壁を設置することなどは出来ません。

様々な建物が道路内に乱立すると、通行の便などを妨げてしまうことにもなりますよね。

しかし、歩道橋などは道路に突き出しています。そのように道路に突き出しても良い建築物というのが、以下の通り定められています。

道路内に建築できる建物
・地下商店街などの地盤面下に設ける建築物
・公衆便所、巡査派出所などの公益上必要な建築物で、特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
・アーケード街などで特定行政庁があらかじめ建築審査会の同意を得て、安全上、防火上、衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの

敷地面積の最低限度

建物の敷地面積は、都市計画で最低限度が定められています。

たとえば、500㎡の土地を20㎡で25区画作る!というようなミニ開発を防止するために設けられています。

最低限度は100㎡と定められることが多く、法律で最大でも200㎡と定められています。

建築基準法の単体規定について

次に単体規定について述べています。

単体規定は、全国どこでも適用されます。

単体規定として挙げられるものは大きく3つに分かれています。

 建築物の構造
 建築物の敷地
 建築設備

それぞれ、どのようなものがあるか見てみましょう。

建築物の構造

以下のような大規模建築物については、安全な構造にするために、大規模な建築物は構造計算によって安全性が確かめられたものとしなければなりません。


・高さ60m超の建築物
・木造3階建、高さ13m超、延べ面積500㎡超、軒の高さ9m超のいずれか
・木造以外で2階以上、延べ面積が200㎡超

他にも防火上の対策や、換気・採光についての決まりもあります。

・延べ面積が1,000㎡を超える場合、耐火建築物、準耐火建築物などを除き、原則として防火壁で区切る
・採光に有効な部分の面積は、住宅床面積の7分の1以上
・換気に有効な部分の面積は、居室の床面積の20分の1以上
・長屋または共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏または天井裏に達するものとしなければならない

上記は代表的なものですが、他の条件は建築基準法の20条で確認できます。

建築物の敷地

建築物の敷地は次の要件を満たさなくてはなりません。

・建築物の敷地の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければなりません
・湿潤な土地やゴミなどで埋立てられた土地等に建築物を建築する場合、衛生上または安全上必要な措置を講じなければならない
・建築物の敷地には、下水管、下水溝、マスなどを設けなければならない
・がけ崩れ等の災害の可能性がある場合、擁壁など安全上適当な措置をしなければならない

建築設備

他に、建築設備についても定めがあります。

・20mを超える高さの建築物には、避雷設備を設ける
・31mを超える高さの建築物には、原則として非常用の昇降機を設ける
・給気口や排気口には、雨水や害虫、ホコリなど衛生上有害なものを防ぐ設備を設ける
・建築物は石綿の飛散・発散防止、居室を含む建築物はホルムアルデヒド・クロルピリホスの発散防止のため一定の技術的基準に適合させなければならない

敷地や建築設備については、構造同様、建築基準法に定められています。

建築基準法のまとめ

以上、建築基準法についてまとめてみました。

この記事が参考になれば嬉しいです。

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