建築協定ってなに?
簡単にいうと、地域にすんでいる人たちが、魅力的なまちづくりを作るために独自のルールをつくることです。
建物を建てる際には、建築基準法などの法律で建物の用途や構造など守らなければならないルールがあらかじめ決まっています。このルールを単体規定といい、北海道でも沖縄でも同じ決まりで建物を建てなければなりません。
しかし、地域によっては適さない場合があります。
そこで、これらを補う制度として定められているのが建築協定(建築基準法第69条)になります。
例えばどんなものがあるの?
まず、イメージがわくような事例をみていきましょう。
建築協定のイメージ
大阪市を例に見ると、現在11の建築協定が結ばれています。(2021.08月時点)
大阪の名所、グリコの看板がある道頓堀周辺も建築協定が定められているのです。
建築協定目的:ミナミの花道にふさわしい「安心・清潔でにぎわいのあるまち」の実現を目指すことを目的とする。
位置:中央区道頓堀1-1-5ほか16筆、難波1丁目7番2ほか30筆、難波3丁目2番1ほか56筆
区域面積:9,960.04㎡
認可年月日:H28.08.10
有効期間:10年(R8.08.18)
この建築協定では、以下のような協定が定められています。
次に掲げる用途を禁止する
・1階の戎橋筋商店街アーケードに面する部分を事務所、住宅、共同住宅、寄宿舎又は下宿の用途に供するもの。
・1階の戎橋筋商店街アーケードに面する部分を畜舎の用途に供するもの
・「特殊風俗あっせん」を行うもの
・1階の戎橋筋商店街アーケードに面する部分を動物の取扱業の営業に供するもの
など
他にも様々な協定があり、これらは大阪市のホームページでも公開されています。
建築協定で定められる内容
建築協定では、以下のものを定めなければなりません。
建築協定で定めなければならないこと
ア.建築協定区域
イ.建築協定区域隣接地を定める場合は建築協定区域隣接地の区域
ウ.建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準
エ.協定の有効期間
オ.協定違反があった場合の措置
カ.協定の代表者
また、建築協定は、建築基準法などの法律で定められている制限を緩和することはできません。
建築基準法より緩い協定はダメということですね。
建築協定を結ぶには?
『建築協定を結ぼう』という話が持ち上がれば、地域の方々(土地の所有者など)が集まって、以下のようなことを決めていきます。
・協定の区域は、どの範囲にするか
・どのような内容の協定にするか
・協定の期間は何年にするか
・協定の運営はどのようにするか
・違反があった場合の対応はどうするか
これらを十分話し合って、全員の「合意」をもとに建築協定書(案)を作成することが必要になります。
なお、建築協定は一人でもすることができます。
建築協定が成立した後の運営
建築協定は、地域の方々で作られる協定です。
そのため、協定が成立した後は、地域の方によって建築協定の運営が行われます。
これを行う組織を「運営委員会」といいます。
この委員会では、この区域内で建築する方にルールを説明したり、建築計画が協定通りに行われているかどうかを承認します。
建築協定を変更する場合は、全員の合意が必要となります。
廃止する場合は、過半数の合意が必要となります。
更に具体的な手続きなどは、対象の行政のホームページなどで確認が必要となります。
まとめ
以上、今回は建築協定について解説してみました。
建築協定は、よりよいまちづくりをするための地域の方々にとっての合意によって成り立ちます。
既存のエリアで建築協定が結ばれているエリアはそう多くはありませんが、このような制度があることも知っておきたいです。
なお、冒頭でも説明した通り、通常の建物には単体規定という、建築の際に守らなければいけないルールがあります。
是非こちらも参考にしてみてください。
【宅建】建築基準法の単体規定・集団規定とはなにか?わかりやすく解説