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仮に、このような広告表記があるネット広告を掲載していた場合、セーフでしょうか?アウトでしょうか?
・・・
根拠なしであれば、アウトです。
おとり広告という言葉もあるように、不動産業界では広告のルールが厳しく定められています。
以下の2つのルールに則って広告を行わなければなりません。
●不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)
不動産の取引について、不当な顧客の誘引を防止、一般消費者の合理的な選択、事業者間の公正な競争の確保が目的
●宅地建物取引業法(宅建業法)
不動産取引の公正さの確保や、購入者の利益保護、流通の円滑化などが目的
表示規約に違反すると、50万円以下の違約金が課せられたり、警告に従わないときは、500万円以下の違約金が課せられたりします。
宅建業法に違反した場合、指示処分や業務停止処分、違反が特に重い場合には免許取り消し処分など重い処罰があります。
今回は、これらのルールに則って、広告で使ってはいけない表記を解説します。
改正資料
目次
そもそも不動産における広告とは?
具体的に、用語の定義によると、広告表示とは以下のものを指します。
・モデル・ルームでの表示
・チラシ、ビラ、パンフレット、説明書面、ダイレクトメール、ファクシミリ等
・口頭による広告表示(電話によるものを含む)
・ポスター
・看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)
・ネオン・サイン
・アドバルーン
・陳列物又は実演による表示
・新聞紙
・雑誌
・その他の出版物
・放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)
・映写
・演劇又は電光による広告
・インターネット、パソコン通信等によるもの
ネットだからOK、紙だからNGというわけではなく、全般的に適用される認識を持っておいた方が良いですね。
不動産広告の表示義務があるもの
これらの媒体を用いて、物件を広告するときは、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、わかりやすい表現で明瞭に表示しなければなりません。(第4章1節)
(1) 広告主に関する事項
(2) 物件の所在地、規模、形質その他の内容に関する事項
(3) 物件の価格その他の取引条件に関する事項
(4) 物件の交通その他の利便及び環境に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、規則[規則4条]で定める事項
見やすい大きさの文字とは、原則として7ポイント以上の大きさの文字のことを言います。
加えて、以下のような表示のルールもあります。
項目 | 表示のルール |
---|---|
取引様態 | 取引態様は、「売主」「貸主」「代理」又は「媒介」(「仲介」)の別をこれらの用語を用いて表示すること。 |
物件の所在地 | 物件の所在地は、都道府県(県庁所在地、政令指定都市及び特別区の場合は省略可)、郡、市区町村、字及び地番を表示 |
交通の利便性 | 鉄道、都市モノレール又は路面電車の最寄りの駅又は、停留場の名称及び最寄駅等からの徒歩所要時間を明示して表示すること。など |
各種施設までの距離又は所要時間 | 徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。 |
団地の規模 | 開発区域を工区に分けて工区ごとに開発許可を受け、当該開発許可に係る工区内の宅地又は建物について表示をするときは、開発区域全体の規模及びその開発計画の概要を表示すること |
面積 | 面積は、メートル法により表示すること。この場合において1平方メートル未満の数値は、切り捨てて表示することができる。 |
物件の形質 | 居室として認められないときは、納戸として表示すること |
写真・絵図 | 宅地又は建物の写真は、取引するものの写真を用いて表示すること。 |
設備・施設 | 水道やガスを明示して表示すること。 |
生活関連施設 | 現に利用できるものを表示し、物件までの道路距離を明示すること。 |
価格・賃料 | 新築賃貸マンション又は新築賃貸アパートの賃料について、すべての住戸の賃料を表示することが困難である場合は、1住戸当たりの最低賃料及び最高賃料を表示すること。 |
住宅ローン等 | 住宅ローンについては、次に掲げる事項を明示して表示すること。 ア 金融機関の名称若しくは商号又は都市銀行、地方銀行、信用金庫等の種類 イ 提携ローン又は紹介ローンの別 ウ 融資限度額 エ 借入金の利率及び利息を徴する方式 |
細かいため、全ては紹介しきれませんが、特徴的なものをあげてみました。同規約第10条でも確認できます。
不動産の広告の禁止用語一覧!不当表示になるもの
また、冒頭で説明したように断定的な表現や、過度な表現は使ってはいけません。
次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならない、とされています。
用語 | 意味 |
---|---|
「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」等 | 全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語 |
「日本一」「日本初」「業界一」「超」「当社だけ」「他に類を見ない」「抜群」等 | 同業者の中で、他の会社よりも優位に立つことを意味する用語 |
「特選」「厳選」等 | 一定の基準により選別されたことを意味する用語 |
「最高」「最高級」「極」「特級」等 | 最上級を意味する用語 |
「買得」「掘出」「土地値」「格安」「投売り」「破格」「特安」「激安」「バーゲンセール」「安値」等 | 物件の価格や賃料について、著しく安いという印象を与える用語 |
「完売」等 | 著しく人気が高く、売行きがよいという印象を与える用語 |
これらの言葉を用いるには、具体的な根拠が必要になります。
不当表示の禁止
事業者は、物件の価格、賃料又は役務の対価について、二重価格表示をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない。
20条
なお、9月1日の改正施行で一部変更(参照資料)されました。
- 過去の販売価格の公表日及び値下げした日を明示すること。
- 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの直前の価格であって、値下げ前2か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
- 値下げの日から6か月以内に表示するものであること。
- 過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められるものであること。
- 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。
おとり広告
よく聞くおとり広告とは、以下のようなものを指します。
(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示
また、もちろんのことインターネット広告も対象になります。
おとり広告ガイドライン(P51参照)によると以下が具体的な事例として挙げられていますので引用します。
(1) 適切な更新を怠ったために、掲載途中から取引不可能になった例
おとり広告ガイドライン
(2) 当初から契約済みであった物件を新規に掲載していた例
(3) 架空物件を掲載していた例
(4) 取引する意思がない物件を掲載していた例
また、これらの発生原因は以下のようでした。
(1) インターネット広告に対する不動産事業者の認識が希薄なこと
おとり広告ガイドライン
(2) 不動産事業者が管理能力を超えた多数の物件を広告していること
(3) 新規掲載時又は更新時に物件の取引状況等の確認を怠っていること
特に、ネットを駆使して多くの物件を扱う業者さんほど注意です。
不当な比較広告
重要ではないことを、あたかも重要であるかのように表示したり、他の会社を誹謗中傷したりするような表示のことを不当な比較広告と言います。
不動産広告用語の使用基準
また、当たり前のように表示されている言葉も、実は基準に沿ってないかも…?それぞれの基準が決まっています。
令和4年9月1日〜施行分の規則
言葉 | 内容 |
---|---|
新築 | 建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。 |
新発売 | 新たに造成された宅地又は新築の住宅(工事完了前のもの含む)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと。 ※一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘 |
ダイニング・キッチン(DK) | 台所と食堂の機能が1室に併存している部屋をいい、住宅(マンションにあっては、住戸。次号において同じ。)の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。 |
リビング・ダイニング・キッチン(LDK) | 居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。 |
宅地の造成工事の完了 | 宅地上に建物を直ちに建築することができる状態に至ったことをいい、当該工事の完了に際し、都市計画法(昭和43年法律第100号)その他の法令による工事の完了の検査を受けることが必要とされるときは、その検査に合格したことをいう。 |
建物の建築工事の完了 | 建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいう。 |
不動産広告の宅建業法上のルール
上記では、不動産の公正競争規約について説明を行いましたが、本章では宅建業法上のルールについて解説します。
宅建業法では3つのルールが定められています。
誇大広告の禁止
宅建業者が広告を行うときは、実際のものより過大に表示したり、事実と違う広告をしてはいけない、というルールです。
宅建業法32条
宅建業法32条
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
広告開始時期の制限
宅建業者は、宅地造成・建築工事に関する工事の完了前では、工事に必要な許可や確認等がおりた後でなければ、広告ができません。
宅建業法33条
宅建業法33条
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
取引様態の明示
宅建業者は、取引様態を明示しなければなりません。また、注文を受けたときは、遅滞なく注文をした時に取引様態を明らかにしなければなりません。
宅建業法34条
宅建業法34条
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別を明示しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない。
まとめ
以上、不動産の広告のルールについて解説しました!
ますますコンプライアンスが叫ばれる世の中ですが、知らなかったでは済まされません。
ネットは気軽にアップできる反面、違反していないか常にチェックしておくよう意識が必要です。
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