営業と言えば商品を売る仕事と言うイメージが強いですが、不動産業界にはモノを「売る」以外の営業が存在します。
それは不動産の仕入れ営業です。
不動産の仕入れとは、土地や建物を収益目的で買取る仕事のことです。
買い取った不動産は、その後買い取り業者の方で商品化し、エンドユーザー向けに販売・賃貸することで有効活用されます。
今回は、そんな不動産仕入れ営業の実態や、成果を上げるコツについて、不動産仕入れ営業の経験者である筆者が語ります。
以下の疑問をお持ちの方は、ぜひ記事を読んでいただきたいです。
- 不動産の仕入れ営業って何をするの?
- 不動産仕入れに興味があるけど自分に出来るのか不安
- 仕入れ営業を始めたけど成果の上げ方が分からない
目次
不動産仕入れには種類がある
一口に不動産仕入れと言っても仕入れる不動産にはいくつか種類があります。
- 建物を建てる為の用地仕入れ
- リノベーション目的の中古戸建·マンションの他
- 自社保有用の収益物件等
それぞれ仕入れの仕方も違います。
ここでは仕入れる不動産の種類ごとに簡単な説明を入れながら紹介します。
自分が実際に仕入れ営業をするイメージで読んでみて下さい。
用地仕入れ
用地とは何かに利用可能な土地のことであり、用地仕入れとは簡単に言うと土地の仕入れを意味します。
戸建用地、マンション用地、アパート用地等の仕入れ営業が一般的でしょう。
「不動産仕入れと言えば用地仕入れ」と考える人も多い程、用地仕入れは不動産仕入れ営業の中では花形的な存在です。
実は筆者もこの用地仕入れを経験していますが、同じ不動産営業の中でも販売とは全く別物の難しさと面白さがあります。
不動産営業の中で求人数も多いので不動産仕入れの仕事をするのであれば、まず選択肢に入ってくる存在と言えます。
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戸建やマンション等の中古物件
不動産仕入れ営業の中で用地仕入れに次いでメジャーなのが、リノベーション用の戸建·マンション等の中古物件です。
仕入れられた物件は、リノベーションをかけられ再度エンドユーザー向けに販売されます。
不動産業界用語で「リノベ再販」と呼ばれることが多いです。
マンションであれば比較的築古の物件、戸建であれば築古でも建物の躯体部分は頑丈なままである物件が、リノベ再販向けの仕入れ対象となります。
売りに出たままの状態では、なかなか一般顧客向けに販売が難しいような物件を、リノベーションにより再生させるビジネスです。
時代のニーズに合った仕事と言えるでしょう。
収益物件(アパート·マンション等)
少し難易度が高く未経験でやることはまずありませんが、自社保有用にアパートやマンション、商業ビル等を仕入れる仕事も存在します。
不動産の賃貸管理をしている会社では、自社の資産運用向けに収益物件を買い取ることがよくあります。
かなり責任の重い仕事である為、基本的に会社の社長や売買経験豊富なベテランが行いますが、そのような仕入れ営業があることも知っておきましょう。
ノウハウを掴めば自分で不動産投資を行うことも出来るので、興味がある人は是非、挑戦してみて下さい。
不動産仕入れ営業ってどんな仕事?その実態について
次に不動産仕入れ営業の仕事内容について。
一般的に不動産の仕入れは不動産業界の中でもきつい仕事と言われますが実際はどうなのでしょうか?
ここでは、基本的な仕入れ営業の仕事内容について紹介します。
営業先は不動産仲介会社がメイン
経験が無い人はなかなか想像がつかない不動産仕入れ営業。
肝心な営業先は、売却物件の情報を豊富に持っている不動産仲介会社がメインとなります。
不動産一括査定サイト等があるように、不動産を売却したい人は、基本的にまず不動産仲介会社に売却の依頼をするからです。
よって、仲介会社からいかに土地の情報をもらうかが、不動産仕入れ営業のカギとなります。
不動産業はよく情報ビジネスと言われますが、出来る仕入れ営業になる程、仲介会社との太いパイプを持っています。
用地仕入れの場合、地主向けに営業を行うこともありますが、大型の地主になる程、地元の仲介会社と深い付き合いがあり、直接の取引を嫌がるケースも多くあります。
仲介会社とより良い関係を築くことが、不動産仕入れ営業で成功する為の最初の一歩となります。
物件情報があれば査定を出す
仲介会社等から物件の情報が入ってくると、自社で商品化した時を想定して買取りの査定額を出します。
「用地仕入れであれば建物を建てて販売」
「リノベ再販であればリノベーション後に再販」
をした上で本当に収益が取れるのかを検証します。
もちろん、高い査定額を出せば買取りは出来ますが、その後の販売が出来なければ何の意味もありません。
売れ残れば、むしろ会社の損失となってしまいます。
不動産仕入れの営業は、常に不動産市場の相場を把握しする必要があります。
「いくらで買っていくらで売れればいくら利益が出るのか」
これが不動産仕入れ営業の最も難しいポイントであり、最も面白いポイントでもあります。
金額がまとまれば買取り契約
査定額を出して売り主が金額に納得すれば買取り契約を進めていきます。
売主との交渉は、基本的に仲介会社を通して行います。
そのため、契約を締結するまで売主と接触することは有りません。
売主と金額が折り合えば売買契約を締結し、売買代金の決済と同時に所有権が買取り会社側に移ります。
買い取った後は商品化して販売
会社によっては仕入れ業務だけのケースも多いですが、仕入れ営業が商品企画·販売まで行うこともあります。
営業の場合、「売って終わり」はあっても「買って終わり」は無いのです。
仕入れた物件は責任を持って商品化し販売していくことになります。
この時、販売部隊が少ない会社では、仲介会社を通して販売を行うことが多いので安心してください。
自分の仕入れた物件が販売出来た時は、何とも言えない達成感があり、仕入れ営業の楽しさや充実感を感じることが出来ます。
不動産仕入れ営業で成果を出すコツって?
最後に不動産仕入れ営業で成果を出す為のコツについて解説します。
不動産の仕入れは、不動産を扱う仕事の中でも難しい仕事として知られていますが、コツを掴んで努力を重ねれば結果が出る仕事です。
筆者は不動産の販売·仕入れのどちらも経験していますが、仕入れ営業の方が、努力が成果に結びつきやすく、ノウハウが長続きします。
不動産仕入れ営業をしているけどなかなか成果が出ない人は、ここでの内容を是非参考にして下さい。
あくまで購入者側!仲介会社との関係は対等を意識する
不動産仕入れの営業は、不動産を買う仕事です。
仲介会社側から見ると、こちらは、あくまで顧客と言うことになります。
もちろん仲介会社側も貴重な情報をくれる大切な存在である為、上から目線で接するのは絶対にNGですが、対等くらいの関係を意識することが大切です。
仕入れ営業をしていると売り主に対する交渉事をはじめ、仲介会社に無理を聞いてもらう機会が必ず出てきます。
普段から上や下ではなく、対等な関係性でいることが、いざと言うときの為に大切になるのです。
初めて会った瞬間からはなかなか難しいですが、何度も会って会話をしていく中で対等な関係に近づけていく意識は必ず持っておいた方が良いでしょう。
買取りの査定額ははっきりと明確に伝える
既に不動産の仕入れ営業をしている人で査定額を使える際、金額に自信が無い時に、
「うちの会社ではあまり金額が伸びそうになくて…。」
「たぶん他の会社さんより弱いと思います…。」
等のような答え方をしている人はいませんか?
結論、これは確実にNGです。
仲介会社は基本的に多忙である為、出来る仲介営業になる程、はっきりとしない答えを嫌います。
査定金額は明確にいくら、またその査定額になる理由をしっかりと自信を持って伝えましょう。
買取り会社は物件に対する考えや好みがそれぞれ違うので、全ての物件で良い査定額を出せることはまずありません。
会社の考えや好みを明確に伝えることで仲介会社からの信頼も上がっていくので、査定額は曖昧に伝えず、根拠を持って明確に伝えるようにしましょう。
営業手段は訪問·電話·メールを使い分ける
不動産の仕入れ営業を始めて毎日の訪問営業で疲れている人へ、そんなに訪問ばかりして疲れませんか?
昔の慣習が抜けない不動産業界は、仕入れ営業においても何かと「足で稼げ」と言われることが多いです。
しかし、今は令和の時代。
電話やメールはもちろん、他の営業ツールも整っています。
ラインやチャットまで使う必要は全くありませんが、せめて電話やメールはしっかりと活用しましょう。
訪問営業を中心とした営業は体力が続かないだけでなく時間効率が非常に悪いデメリットがあります。
仕入れ営業を長く続ける為にも自分が疲弊せず、効率よく営業出来る方法を見つけるのも一つのコツであり大切な要素です。
まとめ
今回は、不動産仕入れ営業の実態や成果を上げるコツについて解説しました。
先述したように不動産仕入れ営業は、不動産業界の中でもきつい仕事として知られており激務のイメージが強い仕事です。
不動産についての知識も多く求められる為、基本的にはベテランが行う業務であると言う不動産会社も多いです。
中には未経験から仕入れの募集をしている会社も多いですが、成果が出るのに時間がかかることに加え、激務に耐えかねてやめる人が多いのもまた事実。
しかし、不動産仕入れの仕事は、不動産の知識も沢山学ぶことが出来、且つ成果が出たときの達成感を大きく感じることが出来る魅力的な仕事です。
興味がある人は、内容をよく参考にして頂き、是非不動産仕入れ営業に挑戦してみて欲しいと思います。