今回は、不動産賃貸仲介営業の仕事解説をします。
家を借りたことがある人であれば、イメージもつきやすいのではないかと思いますが、一言に賃貸と言っても、様々な種類の仕事、様々な会社があります。
賃貸仲介営業に興味がある人に向けて、今回不動産賃貸仲介営業について、解説していきます。
不動産業界で働きながら、不動産専門ブログを運営しているOTOMO(@zebrakun24)が解説します!
この記事は以下のようなことを知りたい方におすすめです。
- 賃貸仲介営業の具体的な仕事内容と現状がわかる
- 不動産会社の種類、選び方がわかる
- 自分は、不動産賃貸営業に向いているかどうかがわかる
具体的なやりがいや辛さ、リアルな点に焦点を当てていきます。
目次
不動産賃貸営業の仕事とは?
家を「貸したい人」と「借りる人」を繋ぐ営業。
それが不動産賃貸営業です。
不動産会社に行き、何件か物件を紹介されたことがある方もいると思います。
なぜこんなに多くの情報を持っているのだろう?と思ったことはないでしょうか。それは、「レインズ」と呼ばれる業者間のネットワークで、不動産業者同士で情報を共通しているのです。
家を探しているお客様にとっては、1つの不動産会社で全てが完結すれば楽ですよね。
そのように流通の仕組みが整えられているのが不動産業界です。
お客さんが住みたい物件を探すためにどうするか?
それらを考えて行動するのが仲介営業の仕事です。
不動産賃貸仲介営業の仕事の流れ
とはいえ、反響に対応し、車で案内するだけが仕事ではありません。
まずは、ざっくり仕事の流れを解説してみましょう。
- ネットに物件を掲載する(広告する)
- インターネットから問い合わせがある
- ご来店いただく
- 希望情報を聞く
- 物件案内をする
- 申し込みがある
- 保証会社の審査がある
- 重要事項説明をする
- 契約
- 鍵の引き渡し
まず、入口の出発点でもあるように、問い合わせをもらわなければ、お客さんと接することもできません。問い合わせをもらうためには、物件情報が必要になります。
その物件情報を集めるためには、家を貸したいオーナーさんを、ネットやチラシを駆使して見つける必要があります。
ただし、オーナーさんと繋がるのは中々すぐにうまくいきません。そこで、不動産仲介の現場では、先物を扱う、という方法があります。
この辺りは、早くお客さんをつけたい不動産会社とも利益が一致するので、先物メインでやっている会社などもあったりします。
SUUMOに同じ物件がいくつも並んでいるのをみたことはありませんか?
大体、このケースが多いです。
賃貸営業と売買営業の違い
不動産賃貸と売買営業の流れの大筋は変わらないのですが、大きく変わる点は以下の3点です。
- 物件調査の必要性が薄い・・・一つ一つ物件調査をしない
- 重要事項説明書が簡単・・・体感では5倍ぐらい売買重説の方が難しい
- 入居審査があるかどうか・・・売買ではキャッシュ即決 or ローン審査 になる。
売買は、大きな買い物になりますので、その分事前の調査がとても重要になります。その分、重要事項説明書(物件の説明書)も分厚くなります。
賃貸で、家を借りたことがある人なら感覚がわかると思いますが、重要事項説明書を真面目に聞いている人は、ほぼいないと思います(いたらすいません)
一方、売買は、ものすごく大きな大金を取り扱うため、軽く流す訳にはいきません。
取引においても、司法書士や、銀行のローン、共有の場合は、持ち主全員の方、など多くの調整業務も入ります。総じて、賃貸よりも売買の方が求められる専門性が高い傾向にあります。
また、給与面では、売買の方が賃貸よりも稼ぎやすい、というのは事実としてあります。
たとえば、一般的な賃貸物件に置いて、月に100万円の売上を作るのは、大変です。家賃5万円の物件を仲介すると、10件以上の成約が必要になります。
一方、売買で100万円の売り上げを作るには、3,000万円の物件を1件仲介すれば到達します。もちろん賃貸でも稼ぐことは可能ですが、高単価のタワーマンションを扱う、など戦略が必要になってきます。
不動産賃貸仲介営業のやりがい・面白さ
そんな不動産賃貸仲介営業ですが、どのような点にやりがいや面白さがあるのでしょうか?私なりにまとめてみました。
色々な人、家と触れ合うことができる
不動産賃貸は、本当に多くの人と触れ合います。
仕事内容や、家探しの背景まで様々。「住まい」は誰にとっても、とても大切なことなので、色々な方の人生に触れることができます。
加えて、いろいろな物件を見ることができます。将来自分が住みたくなるようなマンションが見つかったり、理想の間取りを考えたり、など、仕事を通して同時に物件にも詳しくなれることはメリットです。
実生活でも役立つ(トラブルに強くなる)
賃貸営業に付いて回るのが、トラブル。
トラブルは、不動産賃貸営業に限った話ではありませんが、身の回りでもよく聞きませんか?
そして、そのトラブルはネガティブなことではなく、自分をパワーアップさせる勉強にもなるのです。
たとえばこのような事に詳しくなります。
- 仲介手数料は、なぜ無料にできるの?
- 怪しい不動産会社にあたらないためには?
- 退去費用を安くするには?
- 空室率を埋めるコツは? などなど
退去のコツや、仲介手数料の仕組み。
これらを知っているだけでも、実生活にとても役立ちます。
家族、身内や友人にも、不動産賃貸の裏技を教えてあげることもできます。
もし仮に、自分が物件を貸す立場になったとしても、使える知識はたくさんあります。
未経験でもチャレンジできる
賃貸仲介営業は、資格がなくても、キャリアがなくても挑戦しやすい分野です。車の免許は必要になりますが・・・
高度な専門知識がなくとも、物件案内は可能です。
まずは不動産業界の入り口として、賃貸を経験し、その先に専門性を突き詰めていくこともできます。
ただし、不動産業界に興味がある方は、まず売買を学んでおくのが、私の体験や周りの先輩方を見て思うことです。
なぜ不動産営業が未経験でできるのか?ブラックじゃないの?と思われる方は、以下の記事もご覧ください。
不動産会社はなぜ未経験で求人をするのか?転職して大丈夫なのか解説不動産賃貸仲介の大変さ・辛い点
次に、不動産賃貸仲介会社が大変な点を挙げてみます。
数をこなす必要がある
やりがいの部分でも述べましたが、とにかく触れ合う人の数が多くなります。
また、取り扱う物件の種類により異なりますが、家賃が少ないということは、その分売り上げも少なくなります。
賃貸仲介の売上は「仲介手数料」と「AD(広告費)」で成り立ちます。
賃貸の仲介手数料・・・相場は家賃0.5カ月~1カ月分
AD/広告費・・・管理会社から家賃0.5カ月~1カ月分。
たとえば、月の売上目標が100万円であれば、月の成約は少なくとも10件以上必要です。
スピーディーに、効率よく動いていく必要がありますね。
トラブルが多くなる
また、それだけ数が増える、ということは、トラブルも増えてくる、ということです。
「トラブル」と聞くと、大変そうに思いますが、必ずしもそうではありません。
トラブルには、お客さんの本当の悩みが隠れていたり、信頼を築くチャンスでもあります。
そして、何よりそれが自分のノウハウになります。
私もメンタルは強くありませんが、このトラブル対処によって、人間的に成長することができ、今ではトラブルに前向きになっています。
しんどい時もありますが、いつかは終わると思って、切り替えるのが長く続ける秘訣です。
勤務時間が長くなる
家を借りるとき、車で何件か案内してもらった経験があるかと思います。
車で案内する、というのは物理的に自分の体を動かさなければなりませんので、その間は事務作業などが出来ません。
会社によっては、事務員さんが事務作業を行うケースもありますが、営業活動と事務作業の両輪を回すことが賃貸営業の仕事です。
さらには、職業も学生さん〜ご高齢の方まで様々なので、お客さんに時間を合わせる必要性があります。夜間しか来れない、自分の休日しか来れない、といった人もいるので、その対応や調整能力も必要です。
ただ、最近はオンライン内見、そしてオンライン契約も2022年5月には法改正で出来るようになるので、はたらき方改善もなされてくると思います。
世の中の流れとして、コンプライアンスも徹底されて来るはずです。
【業界の今後】国交省不動産業ビジョン2030をわかりやすく解説不動産賃貸営業をするには?不動産会社の選び方
不動産賃貸仲介営業は、エリア・会社によって扱う物件が大きく異なり、規模も様々です。
たとえば、都心部であれば「タワーマンション専門」のところもありますし、「店舗専門」など、そして「まちの不動産屋さん」から「上場企業」まで。
- タワーマンション専門
- オフィスビル専門
- 店舗専門
- 若年層専門
- フランチャイズ会社 など
タワーマンション専門であれば、その分稼ぎも多くなりますが、タワーマンションの数に限りがあるので、競合も多くなります。
また、店舗やオフィスビルにおいては、事業用としての仲介手数料が適用となるので、利益が大きくなります。
不動産屋の数は、コンビニの数より多いと言われていますので、どこの会社がいいか?を見極めるのは入ってみないとわかりません。
最初は、自分の興味がある分野をウオッチしていくのが良いでしょう。
まとめ
賃貸仲介会社は、先ほど述べたように、数が多くなるので、まずどこで働くか、そしてどのような物件を扱いたいかをざっくりとイメージしておきましょう。
出来るなら、最初に入るのは大手が良いと言えます。フランチャイズでも、流通の仕組みが学べます。
後々活躍していくためには、まずは選り好みせず、色々と任されたことに取り組み、その後で、自分がこの分野が面白そうだ!という流れで取り組んでみるのも良いと思います。
不動産業界の良いところは、市場規模が大きいので、横展開が可能なところ。ぜひ自分の強みを磨いていってください。