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【住まいんど診断】テクノロジーが変える不動産業界の働き方や教育について聞いてみた

テクノロジーや市場環境の変化がめざましい昨今。

その中で、不動産業界にはどのような変化が起きているのでしょうか?今回は不動産業界の「教育」や「働き方」をテーマに、日々現場の最前線に触れている方に聞いてきました。お話を伺ったのは株式会社LIFULLの石塚さん國松さんです。

<プロフィール>

プロフィール

株式会社LIFULL マーケティングコミュニケーション アセットリーディンググループ長 
住まいんど診断サービス責任者 石塚泰斗 さん


1987年名古屋生まれ。LIFULL HOME’Sの営業・マネージャーとして約12年間不動産会社様の課題解決に従事。2016年に支店長として札幌支店を開設。2023年3月に「不動産営業が面白いほどうまくいく本」を共著出版。

聞き手:不動産のOTOMO

この記事は、2023年8月22日時点での内容です。

「住まいんど診断」とは?不動産会社の営業現場を変える取り組み

ー石塚さんは先日行われた不動産テックピッチコンテスト(※)でも優勝されたとのことで、おめでとうございます!反響はいかがでしたか?

石塚さん:ありがとうございます!おかげさまでたくさん反響をいただきました。中には数百店舗フランチャイズを展開している役員の方もいらっしゃいました。運営しているサービスである「住まいんど診断」は営業力強化ツールです。4,800万人の性格統計データとLIFULL HOME’Sの顧客データを掛け合わせ、来店契約率を引き上げることのできるサービスです。

▼住まいんど診断の概要

サービス資料

ー主にどのような特徴があるのでしょうか?

特徴は主に以下の3つがあります。

  • 営業担当と顧客との相性マッチ率の表示と性格タイプ別契約率分析
  • 93(31パターン×3)の性格別セールスアドバイス提供による若手営業の育成
  • 顧客それぞれが望む接客方法を実践することでの顧客体験の向上

不動産・住宅営業の若手や営業力をさらに強化したい営業の方に利用いただいています。

不動産テックピッチコンテストとは全国賃貸住宅新聞社×一般社団法人不動産テック協会の共催イベントです。不動産テックサービスにスポットライトをあて、社会課題の解決やその先の未来について、開発企業が自ら語るコンテストです。

ー今回のピッチコンテストでは、どういった点が評価されたと思われますか?

石塚さん:人と人のコミュニケーションの最適化により契約率が伸びている実績を評価いただいたのだと思います。入社したて・若手の伸び悩みといったところに課題を抱えている企業は多いです。従来の新人教育でいえば、業界知識やビジネススキル・マナーなどの部分はできるものの「知恵」といった部分はOJTで身につけていくしかありません。営業手法には属人性があるため、その点を住まいんど診断を活用して標準化させることで、営業活動や教育に活かすことができます。実際多くの不動産会社で数値として結果も出ています。

住まいんど診断の実績(導入前後比)

  • 札幌市仲介店舗 来店契約率116%UP
  • 東京都仲介店舗 来店契約率118%UP
  • 埼玉県仲介店舗 反響契約率206%UP
  • 23歳女性賃貸営業 来店契約率 25%→53% 212%UP
  • 37歳男性賃貸営業 来店契約率 35%→55% 154%UP

ー私も不動産業界に入った時は、先輩方一人ひとりやり方が違ったりしたので迷いながら学習していました。

石塚さん:はい、特に未経験者の場合は数字につながるまで時間がかかります。その段階で仕事の面白みを感じることは難しいので、1日でも早く結果が出せるように、お客さまや自身の特性を知ることが有効だと考えています。相性や接し方が分かれば、営業のアプローチも変わり結果も変わります。データやテクノロジーを生かすことで不動産会社の営業や教育現場を変えられることを実感しています。

テクノロジーでコミュニケーションを最適化していく

ーその文脈で今回も不動産テックピッチコンテストに応募されたということですね。

石塚さん:そうですね、テクノロジーを通じて経営をより良くするという文脈で言えば、データや統計学を活かすこともその一つです。テックといえば効率化というイメージが強いと思います。MAツールやCRMツールなど作業削減は普及してきて取り入れる会社は増えています。効率化や作業削減で働き方改革が進む一方、空いた時間をどうするか?といった点で、人材をどう伸ばしているか、コミュニケーションをどう最適化するか、このような点にはまだまだ課題が多いと思っています。

コミュニケーションのミスマッチをなくしていく

ー確かに効率化で生まれた時間の活用はまだまだ考える余地がありそうですね。『住まいんど診断』を立ち上げたきっかけは、どのような視点だったのでしょうか?

石塚さん:私は元々LIFULL HOME’Sというポータルサイトの広告営業として活動していました。

LIFULLは反響を主な指標においていて、その後に来店・成約というステップがあります。その中で反響はあるものの来店や成約が増えないという指摘を受けるようになってきました。反響の質を改善することの後は提案がしにくかったのが現状です。

反響を担当する営業によって反響の価値も変わります。1件の反響が成約しその取引で終わり、ということもあれば、紹介が紹介を生むケースもあります。担当営業によりお客さまとのコミュニケーションのミスマッチが起きていることが多く、この点を解消したいと考えました。反響も大切ですが、その後の来店率や成約率を上げるという課題どの不動産会社にとっても共通であり汎用性が高いです。その課題を解決できるのが住まいんど診断だと思い、チームとしてサービスを広めてきました。

調査によると、不動産会社の対応で不満だったことは「コミュニケーションのミスマッチ」が9割に。

ー不動産会社の立場としても共通する課題ですね。

石塚さん:はい。来店率に課題をフォーカスしている会社様も多いと思いますし、それが間違ってるとも思いません。一方「来たお客様」を決めることは、より売上直結するにもかかわらず、研修やロープレ以外の取組みはほとんどなされていません。来店率が仮に10%向上しても、契約率が低い営業が担当したらそのお客様は決まりません。「来る」という具体的な意欲が測れているお客様に対してたった10秒の案内を追加することで契約率が上がるとしたら、とても価値のあること。やらない理由はないと思います。

不動産業界の人材採用や教育の課題感について

本章では、日々不動産会社の採用現場に触れているJOBRIDGEの國松さんにも合わせて「働き方の変化」を伺います。

ー前章でお話しいただいた「若手の標準化」「人材教育」に焦点を当てたいと思います。昨今、不動産会社で採用や教育環境に対する変化はあるのでしょうか?

國松さん:はい、不動産業界の働く個人確保の難易度は年々上昇しています。 ある調査によると、求人数推移は2018年から上昇傾向にあり、およそ2.35倍に上昇しています(※出典:リクルートエージェントデータ分析)。現場の生の声を聞くと「良い人が定着しない」「これまでの採用が通用しない」等の課題感があることがわかります。教育や給与制度を改訂する動きも増えていますね。

不動産業界の個人確保の難易度は日々難化傾向に

不動産業界は、これまで「知人や紹介」といった既存のつながりで採用が決まるケースが多かったと思います。しかし今は大企業でも採用に苦戦している会社は多く、従来のやり方が通用しないケースもよく耳にします。各社柔軟に世の中のトレンドに合わせて変化していますね。既存事業の縮小により新規事業に挑戦する企業も増えています。それに伴って業界未経験でも積極採用する会社も出てきているため、不動産業界の変化を感じています。

ー働き方の変化や賃上げは不動産業界でも例外ではない話ですね。一方、求職者の意識の変化はありますか?

國松さん:今後の不動産業界でのキャリアの築き方に悩まれている方は増えています。特に事業環境が激変する環境下では、みなさん今後どうしていくかは考えられていますね。結婚や出産などライフステージが変わった時に、これまでの働き方では時間が取れないといった形で転職を検討される方もいます。その中で企業も環境を整備し、多様な働き方を受け入れている印象です。良い人にどう定着してもらうか?という課題は各社共通です。

ー企業も求職者も大きな変化を感じます。私も未経験で不動産業界で働いている身ですが、過去の異業界での経験が活かせるシーンが多いです。未経験の人も結構チャンスあるんじゃないかと。

石塚さん:企業の取り組みの変化もそうですが、営業や人材教育に対する課題感は強くなっていきそうです。未経験者の一つのテーマに「定着率」があると思いますが、その部分は住まいんど診断でも支援していきたいですね。未経験入社後でも活躍できるようにテクノロジーで貢献できる部分も多いと考えています。

まとめ

ー最後に、これから目指される世界についてお伺いしたいです!

石塚さん:私は「不動産業界で働くことのバリューを上げ、充実感を誰もが味わえるようにしたい」と思っています。今不動産の現場で起きている、人材難・育成難・コミュニケーションミスマッチによる双方(ユーザーと不動産会社)の不利益を解消したいです。それぞれ働く人が、仕事が楽しいと思えるタイミングが早くなれば、若手の人も一層活躍できる環境が増えると思っています。

國松さん:JOBRIDGEも不動産業界のミスマッチをなくすために、特に未経験者の転職支援に力を入れいています。住まいんど診断がカバーする教育とも親和性が高いので、ぜひ何か一緒に取り組みできるといいですよね。

ー本日もありがとうございました!

改めて、おめでとうございます!

取材後記

今回は不動産の人材や教育の最前線に触れているお2人に、不動産業界の現状と今後を伺いました。人口構成の変化に伴い、不動産の現場でも大きな変化が起きていることを実感しています。共通して感じた課題は「不動産業界のミスマッチ」について。

人材採用しかり、現場のコミュニケーション然り、最後は人対人で事業は成り立つものです。テクノロジーはその手段として活用し、目的を見失わないことが大切だなと感じました。組織としても個人としても日々変化に柔軟に対応していくことが迫られます。

私個人としても、不動産業界のミスマッチをなくすために現場で経験を増やしながら、質の高いコンテンツが作れるように、改めて頑張っていきたいと思いました。

石塚さん、國松さん、ありがとうございました!

各サービス概要はこちら

>>住まいんど診断

>>JOBRIDGE

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