こんにちは、不動産のOTOMO(@zebrakun24)がです。
IT業界出身、現役不動産業界に身をおく筆者が、大好きな不動産業界を調べ尽くすシリーズ!
今回は、京阪神ビルディングについての企業研究を行います。京阪神ビルディングは、阪神競馬場の運営から始まった特色のある賃貸不動産を展開する会社です。
実際にどのようなことをしているのか。会社の概要から歴史、平均年収、抑えておきたいポイントなどのデータを紐解いていきたいと思います。企業研究や、就職・転職の参考にしてください。
2022年3月時点の最新データです。
目次
京阪神ビルディングの基礎情報と特徴

京阪神ビルディングの始まりは、1948年。京阪神競馬株式会社の設立から始まりました。大阪の梅田・難波に場外馬券発売所(ウインズ)がありますが、その建物を竣工、賃貸したのが同社です。
京阪神ビルディングホームページ
戦後間もない1948年、軍用飛行場に転用されてしまった旧阪神競馬場を再興しようとの声が関西馬主・財界人を中心にわき起こりました。当社はそのような強い想いを背景に農林省(現:農林水産省)の賛同を得て、「阪神競馬場」の建設と競馬の振興を図ることを目的に創立されました。創立の際に京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の支援を受け、社名は「京阪神競馬株式会社」と称し、事業を開始しました。
1955年には日本中央競馬会へ阪神競馬場を譲渡し、1956年に京阪神不動産株式会社に社名を変更しました。
1996年には当時行っていた、分譲事業を撤退し、賃貸事業に特化することになります。
オフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設等営業用建物を直接賃貸するのがメインの事業です。
基礎データ
まずは、会社概要から見てみましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 京阪神ビルディング株式会社 |
設立 | 1948年12月24日 |
代表者 | 代表取締役社長 南 浩一 |
事業内容 | オフィスビル、データセンタービル、商業施設、物流施設、 場外勝馬投票券発売所(ウインズ)などの賃貸 建物管理 賃貸施設に係る建築工事の請負 |
資本金 | 98億2,761万円 |
上場取引所 | 東証プライム市場 |
大阪本社 | 大阪市中央区瓦町四丁目2番14号 |
東京支社 | 東京都千代田区神田神保町2丁目2番共同ビル8階 |
従業員数 | 51名(連結・2021年9月30日現在) |
売上と利益規模(直近3年間)
続いて、有価証券報告書から直近の売上・利益を見てみましょう。
回次 | 第98期(2021年3月) | 第97期(2020年3月) | 第96期(2019年3月) |
---|---|---|---|
売上高(千円) | 15,333,960 | 15,319,075 | 14,995,099 |
経常利益(千円) | 5,081,663 | 5,214,928 | 5,214,706 |
売上高は横ばい、経常利益においても、微減です。
平均年収と従業員数(直近3年間)
次に、平均給与などを見てみましょう。
項目 | 2021年3月末 | 2020年3月末 | 2019年3月末 |
---|---|---|---|
平均給与(千円) | 9,348 | 9,139 | 8,661 |
従業員数 | 44 | 44 | 42 |
平均年齢 | 46.9 | 47.2 | 46.4 |
平均勤続年数 | 10.7 | 10.8 | 10.5 |
2021年3月末の平均年収は、約934万円でした。この数値は、2019年、2020年と比べて右肩上がりとなっています。
京阪神ビルディングの事業内容と強み
同社の事業は、大きく以下の4つに分かれています。
- オフィスビル事業
- データセンタービル事業
- ウインズビル事業
- 商業施設・物流倉庫事業
売上の構成費は以下の通りです。

不動産業界の中でも特徴的で、私も面白いと思うものはデータセンタービル、ウインズビル事業です。
それぞれの事業を見ていきましょう。
オフィスビル事業
大阪で働いている方であれば、一度はどこかのビルに行っているはずです。
ビジネス街の一等地「淀屋橋・本町」地区や首都圏で多くのビルを展開しており、御堂筋においては4棟のオフィスが立地しています。
同社のオフィスビル事業の強みは、好立地・高機能・環境配慮の3点です。
先ほど説明したように、大阪の一等地に集中するビルは、どれも駅近で幹線道路沿いです。
環境にも配慮しており、ZEB(ゼロエネルギービル)の対応に対する、省エネ技術採用、屋上・壁面緑化などを通じたビルづくりを行なっています。

似た言葉にZEH(ゼロエネルギーハウス)があり、住宅においても省エネは国としての課題になっています。
データーセンタービル事業
そして、特色はあるのが、データーセンタービルです。
同社は30年以上前からこの分野に着目し、日本でも数少ないデータセンター専用ビル賃貸事業者として、保守管理サービスを行なっています。
まさに、昨今の日本、これからの将来に求められている分野です。
同社の所有する西心斎橋ビルでは、先進の免震装置を採用して、直下型地震発生時にもデータセンターとして機能できるような性能を備えます。
ゲリラ豪雨などの物理的災害においても、万全の対策を期しています。
他にも、特別高圧電力の受電、万一の停電時にも電力を確保。
セキュリティ対策。都心部に物件を集中させることで、技術者が駆けつけることができる体制の構築などが築かれています。
サイバーセキュリティや自然災害などで気を揉む企業にとっては、まさに支出を増やしても安心を買いたいところ。
テナントにとっても魅力のある、同社の他にない強みだと感じます。
ウインズビル事業
加えてウインズビルです。
現在日本では、日本中央競馬会(JRA)が主催するレースの投票券を発売する施設として、全国に40カ所存在しています。
同社は、京阪神地区の5ヶ所を半世紀にわたってJRAに賃貸している、というビジネスモデルです。
そこで培われた経験を生かした施設の美化、設備整備、地域コミュニティづくりなど、きめ細かい対応を行なっています。
同社の売上高は、約22%をJRAに依存しており、13.7%はソフトバンクに、10.7%はエクイニクス・ジャパンに約半数を特定顧客に依存している形となります。(2021年3月)
商業施設・物流倉庫事業
最後に、商業施設・物流倉庫事業です。
京阪神ビルディングは1976年に、商業施設と物流倉庫の賃貸事業に進出しました。
顧客のニーズに沿った機能を備えたビルド・トゥ・スーツ型の物流倉庫の取得に力を入れています。
京阪神ビルディングの今後のビジョン
京阪神ビルディングは、2020年3月期から2026年3月期までの7ヵ年で中期経営計画「ここからの挑戦〜新たな成長のステージへ〜」を組んでいます。
同プロジェクトの投資計画として組んでいた「京阪神 虎ノ門ビル」は2020年11月に竣工し、大阪市内のデータセンタービル「京阪神 OBPビル」は、2021年4月に竣工しました。
主な経営計画は以下の通りです。
項目 | 2021年3月 | 2026年3月 |
---|---|---|
売上高 | 153億円 | 220億円 |
営業利益 | 52億円 | 80億円 |
経常利益 | 50億円 | 75億円 |
既存4事業において、事業ごとの強みを生かして、投資を行なっていく予定です。
それぞれの特徴をまとめておきます。
事業 | 投資戦略 |
---|---|
オフィスビル | ・虎ノ門ビルの早期満室確保 ・東京エリアのブランド力強化 ・他社とのタイアップによる再開発事業への参画 |
データセンタービル | ・OBPビルの早期満室確保 ・アライアンスによるデータセンタービル投資検討 |
商業施設 | ・首都圏、地方中核都市でのビル取得 |
物流倉庫 | ・ビルド・トゥ・スーツ型(特定企業向け)倉庫の取得 |
また、将来に向けて、米国等の先進国に投資先を絞った、海外不動産投資を検討とあります。
新しい領域の投資に目を向けつつ、既存事業の拡大にも注力し、「次世代に承継される資産を拡充すること」を目指します。
京阪神ビルディングの採用情報
2022年3月現在、中途採用情報は見つけられませんでした。
新卒採用の募集要項は以下から確認できます。
まとめ
以上、今回は「京阪神ビルディング」について取り上げてみました。
ご参考になれば嬉しいです。
参考資料:同社IR資料