不動産ライター・編集者募集中

区分所有法とは?難しい用語や歴史をわかりやすく解説

区分所有法ってなに?

簡単に言えば、マンションの管理について定めた法律です。

区分所有法の正式名称は建物の区分所有等に関する法律です。

一戸建てと違い、マンションにはエレベーターや廊下など、住んでいる人が共有して使う部分があります。これを、共用部分といいます。

もし、エレベーターが故障したり、廊下の窓が割れていた場合、マンションが古くなって建て替えを行う必要がありそうな場合、誰がどのように管理するのか?を決めておかねばなりません。

一戸建てを所有していれば自分で修理できますが、マンションは住民みんなで使うものです。

そのための管理体制を定めた法律が区分所有法です。

区分けされた建物(マンション)を所有する律ですね。マンションにお住まいの方には、特に身近な法律ですので、知っておくと役立つ部分も多いです。

区分所有法が定められた背景

この法律は用語が難しいものが多いので、まずは、なぜこの法律が出来たか?という部分を知っておくと、後の理解に役立ちます。

この法律は、昭和37年(1962年)、高度経済成長に伴う都市部への人口急増を背景に設立されました。

そのころ、昭和30年(1955年)の日本の人口は8900万人

平均寿命も、男性が63.6歳・女性が67.8歳で先進国グループの中でも一番短かったのです。

加えて、全人口の3分の1が15歳未満で、約3,000万人もいました。

今の高齢化社会からは想像もつきません…

その若い世代が、次々に育ち家庭を持つことで、仕事を求めて都市部へ流入した結果、昭和27年ごろには630万人だった人口が、昭和37年頃、東京の人口が1000万人を突破しました。

ちなみにこのころには、「リポビタンD」が大正製薬から発売され、巨人の王貞治選手を起用したCMで評判。疲労回復を求めるサラリーマンの間で流行。雪印乳業が「スライスチーズ」を国産初で発売し、今大ヒットとなっている商品も誕生しました。


当時は、一般向けの集合住宅は主に公団や公社が担っていましたが、人口が増加することによる「住宅不足」に対応できず、分譲タイプの住宅建設にも力を注ぎ始めました

そのような分譲タイプが一般的ではない時代だったため、法整備が進められ、そのようにしてできたのが昭和37年の区分所有法です。

それ以降、多くの民間デベロッパーが分譲マンション開発に乗りだし、今では当たり前となった分譲マンションやタワーマンションまで、広い範囲で区分所有法が適用されるようになりました。

マンションにお住いの方も多いと思いますが、区分所有法はとても身近な法律だと言えます。

POINT
高度経済成長で、マンションがどんどん出来て、区分所有法が出来た

区分所有法の用語

区分所有法には様々な事が定められています。

マンションの各部分の名称

例えば、冒頭でお話ししたように、エレベーターは共用部分と言います。このように法律に基づく用語を具体的なイメージも踏まえながら解説します

区分所有者

区分所有者:マンションを買った名義人の人

「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう

区分所有法第2条より引用

専有部分

専有部分:マンションの部屋のこと

区分所有法では以下のように定められています。

「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう

区分所有法第2条より引用

共用部分

共用部分には、法定共用部分規約共用部分があります。

法定共用部分

法定共用部分:法律によって設置義務が定められている部分。廊下、エレベーター、階段、屋上などのこと

規約共用部分

規約共用部分:管理組合の管理規約で、共用部分とすることのできる部分。管理人事務室や集会室、駐車場など

これらの共用部分は、区分所有者全員が利用する事ができます。

「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう

区分所有法第2条より引用

各戸のバルコニーも共用部分ですが、住民が専用して使う事ができます。

敷地利用権

敷地利用権:マンションの敷地(土地)を利用する権利のこと。敷地は、区分所有者全員の共有とされている。

マンションのような大きい敷地は、一人で所有することができません。全員で、そのマンションの敷地を共有しましょうね、という権利です。

敷地利用権は、専有部分と分離して処分することはできません。これを一体性の原則と言います。

マンションの部屋と利用しているマンションの土地の利用権を別々に売ることができない、と言い換えることができます。

ただし、規約で別段の定めをすれば例外が認められます。この場合、専有部分と分離して処分することが可能となります。

「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利

区分所有法第2条より引用

マンション管理に関する定め

マンションには様々な人が住んでいますから、それをとりまとめる場と人が必要です。

学校でもクラスのみんなの意見をまとめる、学級組長のような存在がありましたよね。

そのように話し合う場を「集会」といい、各戸の所有者で構成される団体を「管理組合」といいます。

管理組合は、集会で、管理者を選任、解任できると定められています。

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる

区分所有法第25条より引用

また、この集会は年に1回以上必ず開かなければなりません。

管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない

区分所有法第24条より引用

例えば、集会を行うときは、開催日の「1週間前」には目的事項を示し、各区分所有者に発しなければなりません。
※この期間は規約で伸縮可能でし。

建替え決議という重大な決定をする場合は、「2ヶ月前」に招集通知を発しなければなりません。
この期間を長くする事は可能ですが、短くすることはNGです

集会で決めること

集会では、マンションについてどうしていくべきか?の議論が行われ、その決議が取られます。

これには、普通決議特別決議があります。

普通決議:日常の管理運営に関すること
特別決議:住民に大きな影響を与えること

普通決議

これらの決議を取るのは、マンションの所有権を持っている人たちです。賃貸で住んでいる人には議決権はありません(意見を言うことはできます)。

まず、普通決議は、過半数の決定が必要な数とされています。

議決事項決議に際して必要な区分所有者総数
役員の選任、または解任過半数
管理費などの決定または変更過半数
組合の収支予算の決定または変更過半数

特別決議

特別決議は、重大な決定に関わるものです。

議決事項決議に際して必要な区分所有者総数
共用部分の変更4分の3
規約の設定,変更または廃止4分の3
建物大規模滅失の場合の共用部分の復旧4分の3
建替え決議に関する物5分の4

まとめ

以上、区分所有法で主要な部分を解説しました。

マンションに住む方には、切っても切り離せない法律になります。

ぜひご参考になれば幸いです。

X(旧Twitter)では、ほぼ毎日不動産関連のニュースを配信中です!
ぜひXフォローしてください♪