契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)ってなんですか?
契約不適合責任を簡単にいうと、契約内容と引き渡されたものが違うことを言います。例えばこのようなケースです。
24本入りのジュースを買ったのに、20本しか入っていませんでした・・・
そして、この契約不適合責任は、不動産にも当てはまります。
この責任は、物件を引き渡す側にありますから、契約不適合責任(担保責任ともいいます)を負うのは、売主さんになります。
買主さんにとっては、引き渡された家(不動産)が、雨漏りやシロアリ被害を受けていたとしたら、修理できませんか?と言いたくなる気持ちもあるでしょう。
そこで、下記の場合には、売主さんは買主さんの請求に応じなければなりません。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとき
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)という言葉もよく聞くけれど、何が違うの?
瑕疵担保責任は、2020年4月の改正民法で契約不適合責任に置き換えられました。
瑕疵担保責任と呼ばれる時には、損害賠償と契約の解除しかできなかったのですが、民法が改正されて、新たに買主さんが請求できることが増えました。また、瑕疵(かし)とは、雨漏りやシロアリのように、目に見えない欠陥や不具合のことを言います。「瑕疵」と「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」はそれぞれ別の言葉になりますので、混乱しないように区別しておきましょう。
目次
契約不適合責任
具体的に、買主さんが請求できる権利は下記になります。
・追完請求
・代金減額請求
・契約の解除
・損害賠償請求
一つずつ見ていきましょう。
追完請求
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主さんは、履行の追完ができます。
冒頭で見た事例(数量の不足)で見るとこのようになります。
4本足りなかったので、追加で送ってくれますか?
帰責事由(売主さんの落ち度)の有無は問いません。
建物のケースで言えば、雨漏りをしていた場合、修理を請求できたり、土地について表示されていた面積が不足している場合、不足分の土地か代わりのものを引き渡すように請求できます。
また、買主さん側に責任がある場合は、当然売主さんは追完する義務は負いません。
例えば、建物を内見しているときにうっかりドアを壊してしまった場合。こんな時には、買主さんはドアを直してよ!ということはできません。
代金減額請求
その名の通り、代金の減額を請求する権利です。
4本分、まけてくれますか?
買主さんが追完請求をした場合で、相当の期間を定めているにも関わらず、その請求に対しての履行(実行)が行われない場合は、代金減額請求をすることができます。こちらも帰責事由(売主さんの落ち度)の有無は問いません。
基本的には、買主さんから売主さんに対して履行の催告が必要になりますが、下記のケースでは催告の必要なく、直ちに代金の減額を請求することができます。
①履行の追完が不能であるとき
②売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示した時
③契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達成することができない場合において、売主さんが履行の追完をしないで、その時期を経過した時
(民法 563条 3項)
契約の解除
催告解除
その名の通り、契約を解除することが出来ます。
解除をするには、買主さんが追完請求をしたにも関わらず、売主さんが応じない場合に限られます。
帰責事由(売主さんの落ち度)の有無は問いません。
やっぱり契約をやめます。
不具合が軽微な場合(例えばトイレのフタが一部分割れていた等)は解除できません。
無催告解除
また、通常は追完請求を経てから解除する流れになりますが、履行の全部が不能であるときや、全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した時などは、無催告で解除ができる権利もあります。
損害賠償請求
買主さんは、売主さんに損害賠償を請求することもできます。
帰責事由(売主さんの落ち度)がある場合に、買主さんは損害賠償請求できます。
契約不適合責任の期間
契約不適合だった場合、いつまでに何をすればいいのかな?
上記で説明した権利は、買主さんが「種類又は品質に関して」契約不適合を知った時から1年以内売主さんに通知することが必要です。数量が不足している場合は、適用がありません。
ただし、売主さんが引き渡しの時に不具合を知ってい他のに伝えずに引き渡した場合、この限りではありません。
契約不適合責任の免除特約
又、契約不適合責任を免除することもできます。
一般的な不動産取引では、免除をする旨の特約が付けられることが多いです。
ただし、売主さんが引き渡しの時に知っていて引き渡した場合、この限りではありません。
雨漏りしてたけど黙っておこう・・・
このような場合は、知っていて告げなかったのですから、責任を免れません。
また、宅建業者(不動産会社)が自ら売主となる場合は、責任の期間を2年以上とする場合を除いて特約が無効になります。
まとめ
以上、契約不適合について解説しました。
個人間売買を行う場合は、契約不適合責任を免除できるかどうかを不動産会社に伝えてみましょう。他にも様々なトラブルがあるので、参考にしてみてください。