抵当権消滅請求(ていとうけんしょうめつせいきゅう)ってなに?
今回は、よく分からない方に向けて、抵当権消滅請求を解説します。
不動産業界で働きながら、不動産専門ブログを運営しているOTOMO(@zebrakun24)が解説します!
そもそも抵当権ってなに?という方はこちらの記事から読んでいただくのがいいと思います。
抵当権消滅請求とは?
抵当権消滅請求とは、抵当権がついたまま不動産を購入した人が、抵当権を消してくれ!と債権者に請求できる権利です。
この抵当権がついたまま不動産を購入した人のことを、第三取得者といい、民法379条の定めによると、抵当権消滅請求をすることができる、とされています。
民法第379条
民法
抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
抵当権がついたままの物件は、お金を貸した人が競売にかけることができます。
そのため、新しく購入した人からすると、不利益を被らないように、買った物件の抵当権を消して欲しいと思うものです。
このような場合に、抵当権消滅請求権という権利が認められているのです。
ここでは、以下の設定で流れを解説します。
新しく購入した人(第三取得者):ひよこくん
お金を貸した人(抵当権者):らいおんくん
元の所有者:太郎さん
なお、抵当権は、登記簿謄本の権利部乙区に設定されている権利です。
抵当権消滅請求の流れ
それでは、民法383条に定められている、抵当権消滅請求の流れを見ていきましょう。
私は今、太郎さんにお金を3,000万円を貸しました。
太郎さんは、そのお金で不動産を買い、その不動産には抵当権がついている状態です。
僕は、その太郎さんが所有していた物件を500万円で買わせてもらったよ!
(解説)この物件の時価評価は、3,500万円でしたが、抵当権が3,000万円分ついている分、売却価格が下げられ、500万円で買うことができました。
この時に、抵当権がついている状態であれば、いつ競売にかけられるかわかりません。
ひよこくんとしては、抵当権という権利を外して欲しいと思うものです。
抵当権の消滅請求
そこで、ひよこくんかららいおんくんに、抵当権を消してくれ!と請求できる権利を抵当権消滅請求権と言います。
残り3,000万円の抵当権がついていると思うんだけど、2,500万円払うので、抵当権消してくれないかな・・・?
ひよこくん(第三取得者)が価格を決めて請求できます。
しかしらいおんくんは、悩んでいます。
う〜ん
この時、らいおんくんが承諾するか拒否するかによってその後の手続きが変わってきます。
拒否する場合
ダメだ!応じられない!
この場合、ひよこくんの請求を拒否することになるので、らいおんくんは、請求から2ヵ月以内に任意競売の申立てをしなければなりません。
らいおんくんが、任意競売の申立てをしないときは、ひよこくんが2,500万円を支払うことで抵当権が消滅します。
※繰り返しになりますが、2,500万円というのは例えの金額なので、第三取得者が決めることができます。
承諾した場合
わかった、認めよう!
この場合、らいおんくんは、ひよこくんが2,500万円を支払うことで抵当権を消すことに同意したことになります。
なお、請求権を行使する時には、ひよこくんは書面を送付しなければなりません。以下に条文を挙げておきます。
民法第383条
民法
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二 抵当不動産に関する登記事項証明書
三 債権者が2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
抵当権消滅請求が出来ない人
また、民法の定めによると以下に該当すると、抵当権消滅請求が出来ないことになっています。
抵当権消滅請求が出来ない人
・主たる債務者
・保証人
・債務者や保証人の承継人
・停止条件付第三者(停止条件の成否未定期間)
以下に条文を挙げておきます。
第380条
民法
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
第381条
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
まとめ
なお、ひよこくん(抵当不動産の第三取得者)は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければなりません。
以上が、抵当権消滅請求の概要と流れです。
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