登録免許税ってなに?
登録免許税は、登録免許税法という法律に定められた、登記手続きの時に、国に納める税金のことです。
不動産売買の場合には、売る立場の売主さんと買主さんがいます。契約と同時に、持ち主が変わることになりますが、それを証明するものとして登記があります。この登記できる権利には、様々な種類がありますが、代表的なものは所有権でしょう。
この物件の所有権は私にあります。
口頭ではこのようになんとでも言えてしまうわけですが、それを証明するためにも、登記はとても大切なことなのです。
登録免許税法の第3条では、下記のように定められています。
(納税義務者)第3条
登録免許税法第3条
登記等を受ける者は、この法律により登録免許税を納める義務がある。この場合において、当該登記等を受ける者が二人以上あるときは、これらの者は、連帯して登録免許税を納付する義務を負う。
ポイントは、登記等を受ける者は、この法律により登録免許税を納める義務があるという点です。逆にいうと、不動産を所有しても登記を受けなければ、登録免許税はかかりません。
それでは具体的な内容を見ていきましょう。
目次
登録免許税の概要
登録免許税をまとめると、下記のようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
課税主体 | 国(国税) |
課税客体 | 不動産の登記など |
納税義務者 | 登記等を受ける者 |
課税標準 | 固定資産税課税台帳に登録されている価格 |
納付方法 | 現金納付 |
非課税 | 国や地方自治体が自己のために登記する場合 |
税金の用語に関してはこちらの記事でも解説していますので、ご参考ください。
冒頭で、登記できる権利は種類があるとお話ししましたが、この権利の種類によって、税金が変わってくるのです。
登録免許税の税額
税額は、下記の式で計算して出すことができます。
これが税額を出すための計算式なんだね!
課税標準について
課税標準(かぜいひょうじゅん)は、税金を計算する際の基準の数字と覚えておきましょう。
登録免許税の場合は下記になります。
不動産売買の所有権移転登記:不動産の価額(固定資産税評価額)
抵当権の設定:債権金額(ローンで借りるお金)
税率について
税率は登記の種類で異なります。
登記の種類 | 税率 |
---|---|
所有権保存登記※軽減あり | 0.4% |
所有権移転登記(相続・法人合併・贈与・遺贈など) | 0.4% |
所有権移転登記(売買)※軽減あり | 2.0% |
抵当権設定登記 ※軽減あり | 0.4% |
あらためて用語の説明です。
所有権移転登記:土地や建物を購入したときに、所有権が売主から買主に移ったことを明らかにするための登記
所有権保存登記:新築の建物を初めて登記簿に記載するときの登記
抵当権設定登記:ローンを借り入れて、不動産を担保にするときに設定する登記
計算例
例えば、不動産の価額(評価額)が3,000万円であって、相続した場合を考えてみると、
となります。
軽減税率について
また、上記の表で青線で記載した軽減があります。
土地売買等の登録免許税の特例
土地の売買による所有権の移転登記及び土地の所有権の信託登記に係る登録免許税の税率について、次のとおり軽減されます。
登記の種類 | 本則税率 | 対象住宅 | 特例税率 |
---|---|---|---|
所有権の保存登記 | 0.4% | 個人の住宅の用に供される床面積50以上の家屋 | 0.15% |
所有権の移転登記 | 2.0% | ●個人の住宅の用に供される床面積50以上の家屋 ●中古住宅の場合は、築後25年以内(木造は20年以内)のもの。又は一定の耐震基準に適合するもの | 0.3% |
抵当権の設定登記 | 0.4% | 上記に同じ | 0.1% |
・この軽減税率の特例が適用されるのは、建物(住宅用家屋)だけであり、土地には適用されません。
・法人に関しては、住宅用家屋の軽減税率の適用はない。
・売買と競売のみ。贈与の場合は適用されません。
いろんな、軽減税措置があるんだね!
納付期日と納付方法
登録免許税は、現金納付です。納税地は、登記を受ける登記所の所在地となり、納付期限は登記を受ける時です。
非課税の登記について
下記の場合は、非課税となっています。
・国
・地方公共団体
・特別の公共法人(地方住宅供給公社etc)
・学校法人や宗教法人等の公益法人が自己のために受ける特定の登記
・表示に関する登記
分筆や合筆(土地を分けたりまとめたり)するときは課税されます。
まとめ
以上、登録免許税について解説しました。不動産売買をする時には、司法書士の先生にお願いするパターンがほとんどだと思います。そのため、特に何も用意するものはありません。決済(引き渡しの時の残代金の支払い)の時に、まとめて精算されます。見積もりに記載されています。
税理士さんにお願いする場合もこのようなサービスがあるので、活用してみるのも良いかもしれません。
ご参考になれば幸いです!