都市計画事業は、「道路や公園をつくる」都市計画施設や「市街地を開発していく」市街地開発事業など、整備を行っていく事業のことをいいます。
都市計画法第4条15項では次のように定められています。
都市計画法第4条15項 この法律において「都市計画事業」とは、この法律で定めるところにより第五十九条の規定による認可又は承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいう。
都市計画法第4条15項
都市計画事業は、都道府県知事や国土交通大臣の許可や承認がないと、工事を始めることが出来ません。土地収用法の規定による事業の認定は行われません。
土地収用法とは・・・?
公共目的の事業(道路や公園、下水道・学校など)を行う場合に強制的に土地の所有権を取得することができる。その際の要件や手続き・損失の補償などについて定めている法律のこと
それでは、都市計画事業の内容や、制限を見てみましょう。
目次
都市計画事業の内容
都市計画施設、市街地開発事業について見ていきます。
都市計画施設
都市計画施設は、公園や道路、下水道などです。
都市計画法第4条にこのように定められています。
この法律において「都市計画施設」とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
都市計画法第4条第6項
第十一条第一項各号に掲げる施設は下記のことをいいます。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
四 河川、運河その他の水路
五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
七 市場、と畜場又は火葬場
八~十四 略
市街地開発事業
市街地開発事業とは、一定の地域について市街地の大規模な整備開発を行うものをいいます。市街地開発事業には7種類定められています。
事業名 | 事業内容 |
---|---|
土地区画整理事業 | 都市計画区域内でエリアを区切り、そのエリア内で公共施設(道路、公園、下水道等)の整備改善や、宅地の利用増進を図る事業 |
新住宅市街地開発事業 | 人口集中が著しい市街地の周辺地域で、健全な住宅市街地の開発や居住環境の良好な住宅地の大規模供給を図る事業 |
工業団地造成事業 | 既成市街地への産業や人口の集中を抑制するために、首都圏の近郊整備地帯で計画的に市街地を整備したり、都市開発区域を工業都市として発展させるための事業 |
市街地再開発事業 | 低層の木造建築物が密集しているなど、災害の危険性がある地区で、細分化した土地を集約して不燃化、中高層化した共同建築物(ビル化)として建築し直すと同時に、公共施設を整備する事業 |
新都市基盤整備事業 | 新都市の基盤(道路、鉄道、公園、下水道等の施設)を大都市の周辺部で整備することにより、大都市への人口集中の緩和と住宅地の供給を行う事業。 |
住宅街区整備事業 | 良好な住宅地として開発整備する地区として都市計画に定められたエリア内で、共同住宅の供給と公共施設の整備をするほか、必要に応じて集団的の内野確保を行う事業 |
防災街区整備事業 | 「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業 |
都市計画事業の流れ
都市計画事業は、完成まで長い時間がかかります。この間に邪魔になる建物を建てられたり、ビルを建てられたりすると、さらに長い時間がかかってしまいます。そのため、計画事業が決定したら様々な建築の制限が設けられます。
街中でずっと工事してるところもあるもんね・・・
都市計画事業の流れのイメージ図はこのような形です。
それぞれの段階に、制限がかかります。
都市計画事業の行為制限
上記の図A・Bそれぞれの段階で制限の内容が異なります。
【A】都市計画施設の区域または市街地開発事業の区域内の制限
都市計画事業が決定されたものの計画がまだ具体的でないため、そこで建築をするには、都道府県知事の許可が必要な区域。非常災害の応急措置や、都市計画事業の施工として行う行為などは例外的に許可不要です。
【B】都市計画事業の事業地内の制限
内容が具体化され、確実に建築行為が行われる段階。【A】よりも当然厳しくなります。この制限のことを都市計画事業制限といいます。
具体的には、下記のいずれかを行おうとする場合、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。
①土地の形質の変更
②建築物の建築その他工作物の建設
③一定の移動の容易でない物件の設置もしくは堆積(たいせき)
AよりもBの方が強い制限なんだね!
上記では、A・Bの制限を見ましたが、そもそも都市計画事業を決定するのにも長い時間がかかる場合があります。例えばニュータウンなどの場合、大規模な面積で決定にも相当の時間がかかります。
こうした場合、市街地開発事業の決定前に、早い段階から予定区域を定めることができるとされています。これを、市街地開発事業等予定区域といいます。この決定がなされた場合も、建築等の制限があります。先ほどの図に当てはめて見て見ましょう。
【C】市街地開発事業等予定区域内の制限
大規模な開発がうまくいかないことを防ぐため、あらかじめ定められた予定区域。建築物の建築、土地の形質変更をする際には都道府県知事等の許可が必要です。
まとめ
それでは、上記の内容を表でまとめて締めくくりたいと思います。
A 都市計画施設の区域または市街地開発事業の施工区域内 | B 都市計画事業の事業地内 | C 市街地開発事業等予定区域内 | |
---|---|---|---|
建築物の建築 | 知事の許可が必要 | 知事の許可が必要 | 知事の許可が必要 |
土地の形質変更 | 許可不要 | 知事の許可が必要 | 知事の許可が必要 |
一定の物件の設置・堆積 | 許可不要 | 知事の許可が必要 | 許可不要 |
非常災害の応急措置 | 許可不要 | 知事の許可が必要 | 許可不要 |
以上、似たような言葉やイメージしづらい言葉も多いですが、是非図や写真を参考にしていただければ幸いです!
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