不動産屋さんはベテランが多い。
そのような印象を持ったので、データを調べてみました。
調べてみると、実際に働いている人の割合は40代以上で8割近く。
実際に働いている年齢でいうと、20代は全体の10%に満たないことがわかりました。
宅建士の正式名称は宅地建物取引士といい、「宅地や建物(不動産)」の取引をする上での専門家になります。
「宅建」といえば聞いたことのある方が多いかとは思いますが、宅建士になるには、以下のようなステップがあります。
↓
STEP2 宅建士として登録をする
↓
STEP3 宅建士証の交付をうける
↓
STEP4 宅建士としての業務ができる
つまり、試験を受けて全員が宅建士になるわけではありません。
試験にだけ合格していて、登録はしていない、という方も多いのが現状です。
試験に合格した時点では「宅建士試験合格者」
資格登録をすると「宅建士資格者」
宅建士証の交付を受けると「宅建士」
になるという流れですね。
今回は公益社団法人不動産流通推進センターから公表されている不動産統計集のデータをもとに、実際に宅建士として働いている方の年齢層を調べてみました。
宅建試験の受講者
まずは宅建試験についての数字を見ていきます。
宅建試験は毎年約20万人の人が受験する人気の国家資格試験です。
その中でも合格率は15~17%とされており、毎年平均して30,000人程度の方が合格しています。
以下、直近10年間の受験者数の推移のグラフを見てみましょう。
年度 | 申込者数(人) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
H19年度 | 260,033 | 209,684 | 36,203 | 17.3 |
20年度 | 260,591 | 209,415 | 33,946 | 16.2 |
21年度 | 241,944 | 195,515 | 34,918 | 17.9 |
22年度 | 228,214 | 186,542 | 28,311 | 15.2 |
23年度 | 231,596 | 188,572 | 30,391 | 16.1 |
24年度 | 236,350 | 191,169 | 32,000 | 16.7 |
25年度 | 234,586 | 186,304 | 28,470 | 15.3 |
26年度 | 238,343 | 192,029 | 33,670 | 17.5 |
27年度 | 243,199 | 194,926 | 30,028 | 15.4 |
28年度 | 245,742 | 198,463 | 30,589 | 15.4 |
29年度 | 258,511 | 209,354 | 32,644 | 15.6 |
30年度 | 265,444 | 213,993 | 33,360 | 15.6 |
R1年度 | 276,019 | 220,797 | 37,481 | 17 |
R2年度 | 259,284 | 204,250 | 34,338 | 16.8 |
10年前から申込者数は右肩上がり。R2年度はコロナの影響もあり、少し落ち込んでいますが、また上がっていく気もします。
宅建士の登録者
次に、試験に合格して業務に従事する必要がある場合、宅建士の登録を受けなければなりません。
こちらも登録者数の推移のデータが公表されているので見てみましょう。
区分 | 年間の新規登録者数(人) | 年度末登録者数(人) |
---|---|---|
H14年度 | 20,526 | 709,949 |
15年度 | 23,539 | 730,953 |
16年度 | 21,762 | 750,764 |
17年度 | 23,993 | 768,023 |
18年度 | 27,073 | 793,400 |
19年度 | 29,781 | 821,240 |
20年度 | 29,695 | 842,845 |
21年度 | 27,705 | 867,501 |
22年度 | 21,907 | 888,097 |
23年度 | 21,356 | 901,687 |
24年度 | 24,247 | 920,860 |
25年度 | 22,723 | 941,614 |
26年度 | 22,799 | 958,974 |
27年度 | 24,485 | 982,411 |
28年度 | 23,201 | 1,004,101 |
29年度 | 23,830 | 1,024,974 |
30年度 | 25,717 | 1,049,253 |
R1年度 | 27,580 | 1,076,177 |
毎年20,000人以上が登録を行っており、登録者も年々増え続けていて、平成28年度には100万人を突破しました。
宅建取引士証交付者数
そして、宅建士証交付者数です。登録が終わると、宅建士証を発行してもらう必要があります。
いわゆる免許証のようなイメージで、これがないと宅建士の業務を行うことが出来ません。
この宅建士証の交付が行われている数が年齢別に公表されているので、まとめてみたところ驚愕の数字が。
なんと30代は16%、加えて20代はわずか6%ということが分かりました。
約8割に近い数字を40代以上が占めることになります。
取引士証交付者数 [A] | 人数 |
---|---|
~29歳 | 31,932 |
30~39歳 | 82,942 |
40~49歳 | 131,299 |
50~59歳 | 124,749 |
60~69歳 | 85,494 |
70歳~ | 68,300 |
しかし、この数字=実際に就業している人数ではありません。
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宅建取引士の就業者数
そして最後に、宅建士証の交付を受けている中でも実際に就業している割合をまとめました。
すると
30代がわずかに上振れましたが、依然として20代の就業数は7%です。
合計で全体の25%、つまり4人に3人は40代以上ということになります。
取引士就業者数 [B] | 人数 |
---|---|
~29歳 | 23,557 |
30~39歳 | 59,936 |
40~49歳 | 86,475 |
50~59歳 | 76,092 |
60~69歳 | 43,830 |
70歳~ | 35,733 |
まとめ
以上、調べてみると一番のボリュームゾーンは40代の方のようで、ベテランが多いというのは気のせいでないことがわかりました。
なお、不動産業界は幅広いので、必ずしも宅建士を持っていないと業務ができないといったことはありません。
しかし、今後進んでいく高齢化社会に連れて若年層の育成や宅建士の確保も重要であることが分かります。
それにしても少々驚きのデータでした。
出典:公益財団法人不動産流通推進センター「不動産業統計集」
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