日本でも東京一極集中現象が起き、人口の大半が関東圏に集中しています。マレーシアはどうなのか?
やはり経済発展が著しい東南アジアの一角を担う国ですので、人口が増え続けています。
世界投資銀行のデータによると、マレーシアでは2050年に全体の9割近くが都会(Urban)に、1割弱が地方(Rural)にといったデータが出ています。
つまり、都市部一極集中の流れになる、と予想されています。
1960年〜1990年には、全体の人口増もあいまってか、都会も地方も人が増え続けていました。
しかし、1990年を境に、人口が増えているにも関わらず地方の人口が減っていき、都心部に人口が集中している様子が伺えます。
今後もこの傾向は続きそうです。だからこそ、都心や都心へのアクセスを重視した住まいや新たなサービスも生まれてきそうです。
それでは、不動産の流通においては、どのような変化をたどってきたのか?
今回は、そんな疑問をもとに、今回はマレーシア政府統計局のデータから、過去30年分の不動産取引の量と価値および年次変化をまとめてみました。
目次
マレーシアの不動産取引量および年次変化
1990年から2019年の取引量と年次の変化をまとめたグラフが以下となります。
統計資料は マレーシア政府統計 からダウンロードできます。
不動産取引量
1990年:148,000
2019年:328,000
グラフを見ると、1998年に落ち込み、その後は一気に上昇。
以降はゆるやかに上昇し続けて、2011年をピークに、近年は、前年比ベースで下降傾向にあります。
なお、1998年はアジア通貨危機の時期になります。
マレーシアの不動産取引価値および年次変化
次に、不動産取引価値および年次変化をグラフにまとめてみました。単位はRM(リンギット) Billion です。
価値の単位について
2021年8月時点で、1RM(リンギット) = 26RMです。
15RMBillion = 15 × 26 × 10億 = 3,900億円です。
150RM Billion = 150 × 26 × 10億 = 3超9000億円です。
不動産取引価値
1990年:15.16 RM Billion(約3,900億円)
2019年:141.40 RM Billion (約3超6660億円)
30年間で単年度の取引はおおよそ10倍になっており、約3,900億円から約3超6660億円までの価値を生むまでに拡大しました。
要約
こうしてみると、2000年代前半までは大きく目立った成長は見られなかったものの、2006年~2014年にかけては年々右肩上がりで増加しています。
前年比の変化率が右肩下がりになっているのは、伸びしろが少なくなった、という見方もできるでしょうが、規模でいうと現時点では拡大基調にあるようです。取引量もある程度増えて安定しているようにも見受けられます。
コロナウイルス前のデータになるので、2020年、2021年を踏まえたデータを見ていくことが、市況を見極める上で大切になってくるでしょう。
次に、分野別に見てみます。
マレーシアの分野別不動産価格推移
1)Residential 居住用
2)Commercial 商業用
3)Industrial 工業用
4)Agricultual 農業用
5)Development Land 開発用地
出典:・マレーシアの政府統計
マレーシア不動産市況のトレンド
先にマレーシアの過去20年の分野別の特徴をまとめておきます。
・2019年一番多く取引された分野は「居住用」次いで「農業用」で全体の85%を占める
・工業用地が伸びていない
・商業用、開発用地は10%以下
・各分野共に取引量は2010年代前半がピーク
それでは、それぞれ見ていきましょう。
マレーシア不動産の構成比
以下のグラフを見ると、ほとんどが居住用であることが分かります。その次に農業用の不動産が多いです。
商業用・開発用地・工業用意は合わせても16%ほどにとどまります。
これは、年ごとに大きく変わるわけではなく、取引される分野は、2019年のデータをもとにイメージしても良いかと思います。
Residential|居住用
居住用はマレーシアだけではないですが、ムラが見られず、安定している印象です。
価値は2014年がピークですが、その後、一旦下がり、また上がり続けています。
グラフの見方
棒グラフが取引量の推移、折れ線グラフが価値(RM Billion)です。
点線は近似曲線です。
Agricultal|農業用地
農業用地の取引量も以前より増え、安定している印象です。
2011年に取引量と価値が共にピークを迎え、その後は下降して、上下を繰り返しています。
Commercial|商業用
商業用はムラが激しいです。
2001年から2011年にかけて取引量は上昇を続けていましたが、2017年には、2004年ごろの水準に戻っています。
価値についても、振れ幅の上下が大きいです。
Industrial|工業用
工業用については、そもそもの取引量の絶対値が少なく、商業地のピークが約40,000であるのに比べて、工業地のピークは10,000程となっています。
しかし、価値については緩やかに上昇をしており、2018年ピークを迎え、翌年の2019年は横ばいで推移しています。
Development Land|開発用地
開発用地の取引量は2012年がピークです。その後、上下をくりかし、2019年にはピーク時の半分程度になっています。
量と価値の近似曲線は綺麗な右肩上がりを描いています。
まとめ
以上、今回は分野別の不動産取引量や価値の推移をまとめてみました。
参考になれば幸いです。