Sponsored by 株式会社LIFULL
不動産業界は、まだまだアナログな業務が多く残る分野と言えます。
そんな中、生成AIを活用した業務効率化に大きな可能性を見出せる取り組みをご紹介。約200時間の業務効率化にも成功したプロジェクトです。
今回お話を伺ったのは、社内副業制度を利用して業務改善に取り組む森さん。エンジニアとしての視点から、生成AIをどのように不動産業界の課題解決に活用できるのか、その可能性と今後の展望についてお話を伺いました。
取材のポイント
・不動産業界の採用分野における生成AI活用の可能性
・エンジニアならではの課題解決アプローチとその実践例
・人材採用のミスマッチをどのように防いでいくのか
今回お話を伺った方
・LIFULL HOME’S事業本部 エンジニア プロダクトエンジニアリング部 森 諒介 氏
・LIFULL HOME’S 不動産転職事業 CEO 國松 圭佑 氏
エンジニアとしてのキャリアと新たな挑戦
―現在のお立場とこれまでのキャリアについて教えていただけますでしょうか。
森さん:2018年に株式会社LIFULLに入社し、現在8年目を迎えています。主にエンジニアとして、不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」の改修などを担当しています。企画チームとエンジニア・デザイナーが連携しながら、施策を立案し、改修を行っています。
―入社のきっかけについても伺えますでしょうか。
森さん:大学院を卒業後、就職活動中に株式会社LIFULLの企業理念として掲げられている「利他主義」に惹かれて入社を決めました。実は大学院では、少し異なる分野を研究していまして、VRデバイスを活用したリハビリテーションの研究に携わっていました。
ー今は、別のプロジェクトにも関わっていると伺いました。
森さん:はい、社内公募制度を利用して、LIFULL HOME’S不動産転職に関わっています。社内の兼業システム「キャリフル」を活用して、業務時間の10%を新規プロジェクトに充てることができる制度を利用しています。今は複数のプロジェクトに生成AIを活用してツールを開発しており、もの作りの過程そのものに楽しさを感じています。
社内副業から生まれたアイデアとは?
ー社内公募はなぜ手を挙げたのでしょうか?
森さん:弊社でのプロダクト作りは企画と開発の分業制だったこともあり、自らアイデアを出し1からプロダクトを作る機会を持てずにいました。一方で自ら提案してモノづくりに関わりたいという気持ちはあったため、新たに始まることになったこの一般公募に応募しようと思ったことがきっかけです。
最初は実施内容が明確になっていなかったこともあり積極的ではなかったのですが、公募の機会にプロジェクトについての質問を重ねているうちに自然と参加することになりました。
エンジニアとしての技術面だけでなく、より幅広い視点でものづくりに関わりたいという思いがありました。
ー実際取り組みを始められた8ヶ月前と比べて、どのような変化がありましたか?
森さん:通常業務ではエンジニアグループに所属していますが、新しく参画したプロジェクトではエンジニアが少ない環境でした。
最初のほうは目標達成に向けてのアイデアが出される中での調査の手伝いなどをすることが多かったですが、これといった活躍はできていなかったと思います。
そういった活動がしばらく続いた後、アイデアの中に手作業で情報収集をするといったタスクがあり、自動化用のプロトタイプを作って共有すると、自分が思っている以上の反響がありました。エンジニアの中では普通と思っていたことが周りに喜ばれました。少人数チームならではの良さで、自分が作ったものへのフィードバックがすぐに得られる環境でした。
―生成AIの活用についてはどのようなきっかけがあったのでしょうか?
森さん:弊社CTOの長沢さんが登壇するAIカンファレンスが開催された際、國松さんから『生成AIを不動産業界で活用できないか』というお話をいただき、LIFULL HOME’S不動産転職での活用可能性を探ることになりました。
実際のイベント:AI競争力は組織で創る。AI活用の組織づくり、育成法を学ぶ
森さん:まず取り組んだのは、業務の棚卸しと優先順位付けです。特に時間がかかっている業務を洗い出し、事務作業の効率化を目指しました。営業活動やリサーチ業務などの効率化ツールの開発に取り組み、ChatGPTを活用してコードを生成していきました。
國松さん:新しいチームでは、森さんともう一人のプランナーの方と毎週30分の面談を行っていました。面談から1週間で具体的な成果が形になり、普通の開発サイクルでは考えられないスピードで、現場の声もツールにすぐに反映される環境が整っていました。
ー開発と聞くと、もっと多くの時間がかかるイメージがありました。
森さん:社内向けツールとして開発できたことも、大きなメリットでしたね。デザインや仕様の調整もスムーズにでき、生成AIの活用で開発のスピードが格段に上がりました。もし2年前に同じことを試みていたら、ここまで素早い実現は難しかったと思います。
不動産会社の採用課題を生成AIで変えていくには
ー具体的にはどのようなツールを開発されていたのでしょうか?
國松さん:LIFULL HOME’S不動産転職では、採用に悩む不動産会社の経営者や人事の方、また求職者の方々と日常的に接する機会があります。特に一人社長の不動産会社では、採用まで手が回らないという課題をよく耳にします。そういった現場の声から課題を拾い上げ、採用をスムーズに進められるツールの開発に取り組んでいます。
森さん:詳細は公開できない部分も多いのですが、企業の採用活動を効率化するツールを開発しています。実際にトライアルとして活用いただいている不動産会社もあり、今後さらに広く活用していただければと考えています。
ー不動産会社では採用を兼務で行っているケースが多いかと思います。求職者側にとってはどうでしょう?
森さん:求職者の方々の多くが不動産業界未経験や転職経験が少ない方で、応募書類の作り方から悩まれています。そこで生成AIを活用して、書類作成のサポートができないかと日々検討を重ねています。
また、今後の展望として音声の分野も可能性が大きいと思います。生成AIとリアルタイムで対話ができるようになれば、最初の壁打ち役として機能し、なかなか相談しづらい内容も話せるようになり面談前の自己整理が格段に向上すると思います。また、準備不足で本来の能力が発揮できず面接で失敗してしまうことを防ぐためにパーソナライズされた面接対策資料を用意するなど、意図しないミスマッチを防ぐ仕組みも考えられます。
補足:今回のプロジェクトでは、GAI活用表彰(通称:GAIA)で表彰されたとのこと。ツールの活用が200時間の削減にもつながりました。
※株式会社LIFULL様よりいただいた資料(一部モザイクを入れています)
今後の展望と個人としての成長
―このプロジェクトを通じて、森さん自身に何か変化はありましたか?
森さん:以前は、アイデアを十分に練り上げてから周りに伝えようとしていました。でも今は、まずはアイデアを共有してみるようになりました。思った以上に自分のモチベーションも上がっていて、この経験を他の業務にも活かしていきたいと考えています。
―今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?
森さん:具体的なキャリアビジョンはまだ明確には定まっていないのですが、今の業務に非常にやりがいを感じています。特に生成AI分野は週に1回ほどの頻度で新しい技術や可能性が出てきているので、ここ1〜2年は腰を据えてプロダクトへの実装に取り組んでいきたいですね。
現在は主にテキストベースの活用が中心ですが、先述した通り、将来的には音声などへの展開も視野に入れています。
ー生成AIを生かしてどのような展開を考えていますか?
國松さん:不動産業界、特に人材分野はまだまだレガシーな部分が残っています。生成AIを活用することで、求職者と企業のミスマッチを減らし、マッチング精度を高めていきたいと考えています。
森さん:今回のプロジェクトを通じて、多くの方に知っていただく機会が増え、こういった取り組みの重要性も実感しました。今後も新しい技術をキャッチアップしながら、不動産転職領域をエンジニアリングで牽引できるプロアクト作りや知見を活かし、LH不動産転職へのエンジニアリングによる経営をリードする試みひいては社内での様々な部署の業務改善に貢献していきたいと思います。
ーありがとうございました!
まとめ
今回の取材を通じて、限られた時間でも大きな変化を生み出せることを実感しました。森さんは社内副業制度で与えられた10%という時間を活用し、生成AIを駆使した業務効率化に取り組まれました。
不動産業界で採用に携わる方々にとって、AIやITの導入は大きなハードルに感じられるかもしれません。しかし、できるところから少しずつ技術を取り入れていくことで、思いもよらない効果が生まれる可能性を秘めています。
私自身、日々の業務でAIを積極的に活用していますが、もはや手放せないものになっています。
不動産業界における生成AIの活用は、まだ始まったばかり。今後の展開に、より一層の期待が高まります。