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大和ハウス工業の海外進出の歴史とマレーシア展開

今回は、日本の不動産・建築業界では知らない人はいない、大和ハウスさんの海外進出事情をまとめてみたいと思います。

大和ハウス工業の海外進出の歴史

大和ハウス工業の海外進出の始まりは1961年に遡ります。

同年、ダイワハウス工業は、シンガポール法人のサウスエイシャ社等と共同出資のうえ「大和マラヤ有限公司」をシンガポールに設立しました。

生産工場をシンガポールに設置し、工場建設、住宅供給、学校建設などを東南アジアや中近東で行っていました。その後、タイ・インドネシア・ブラジル・アメリカ・中国・オーストラリアへと進出していきます。

1971年にはインドネシアに約500戸の住宅・生活施設を輸出したり、ブラジルでは「しまむら・ダイワハウスS/A」を設立したうえで、勤労者住宅2万戸建設。さらに1976年にはアメリカで分譲住宅 1万戸建設と、古くから大規模プロジェクトを手がけています。

そんな中、マレーシアに進出したのは2015年のことでした。

大和ハウス工業のマレーシア進出の背景

ダイワハウス工業は、2015年にマレーシアで戸建住宅事業を開始しました。

同社は1964年より、日系企業の工場を7物件建設してきましたが、2012年4月、戸建住宅事業参入を視野に、クアラルンプールに駐在員事務所を設置し、研究を重ねてきました。

2014年10月には、マレーシア国内の大手不動産開発会社「サンウェイ社」と戸建住宅事業を進めるための覚書を締結し、2015年に戸建開発・販売がスタート。同社が日本で長年培ってきたプレハブ工法によるマレーシア版の戸建住宅(総戸数100戸)開発・販売することになりました。

また、ダイワハウスグループであるフジタ株式会社の関連会社が鉄道インフラ整備事業を受注し、施工するなど、社会インフラの構築を手がけています。それだけでなく、大型物流施設も手がけています。

マレーシアの拠点・プロジェクト一覧

同社HPより引用

それぞれの主要なプロジェクトを見ていきましょう。

大和ハウス工業のマレーシア版戸建100戸開発

2015年に始まった戸建開発は、サンウェイ・イスカンダルプロジェクトというジョホール州イスカンダル地区で開発する大規模不動産開発プロジェクトの地内で行われました。

このプロジェクト地内では、法人税が免税されたり、外国人投資が規制撤廃される等特別規制緩和エリアになります。シンガポールとのアクセスもよく、大変に好立地なエリアです。

この地内に、大和ハウス工業が、日本のプレハブ住宅を建築しました。ここで建てられる戸建は、主に富裕層向けとされており、発売前には7,000〜9,000万円が予定価格とされていました。

主な特徴としては、以下のような点が挙げられます。

マレーシア版戸建の特徴
・躯体構造は、軽量鉄骨造のパネル併用構造を採用
・戸建住宅で使用する建築資材や住宅設備機器の多くは現地で調達
・工期は約5ヶ月とし、現地の在来工法と比較すると約半分に短縮
・耐久性と省エネルギー性に優れた当社独自のマレーシア版オリジナル外壁システム
・天井高は3.4mと日本の約1.5倍(※4)の高さに引き上げて熱帯雨林気候特有の澱んだ空気を室内上部に逃す
・天井設置のシーリングファンを利用して温められた空気とエアコンの冷気を攪拌させることで、空調効率を高める
・当社オリジナルのHEMSやフレンドリーデザインの建具をはじめ、日本の最先端技術を採用

大和ハウス工業のマレーシア進出の背景として、戸建住宅市場を以下のように分析しており、重要な足がかりとしています。

マレーシアは戸建住宅の人気が高く、また、ASEAN諸国の中では唯一、外国人が戸建住宅を所有できる国となっています。〜略〜 プレハブ住宅のノウハウと技術を持つ当社と、マレーシアの住宅市場で確固たる地位を築いているサンウェイ社との提携による今回の戸建住宅事業は、マレーシアにおいてプレハブ住宅を展開していく上での重要な足がかりとなります。

同社リリースより

D Project Malaysia 1(ディープロジェクト・マレーシア・ワン)

 「DプロジェクトマレーシアⅠ」とは、同社が2019年1月に着工した、マレーシア・セランゴール州における、敷地面積が約9,100坪・総事業費は約20億円の大型マルチテナント型物流施設です。

クアラルンプール中心部から南西へ約27km、「クアラルンプール国際空港」から北へ約40kmのところに位置します。

工場や物流施設が建ち並ぶエリアに位置し、近年マレーシアにおいて需要が高まるコールドチェーン(※2)に対応した物流施設です。

コールドチェーンとは、生鮮食品や冷凍食品など、産地から消費地まで所定の温度を保ったまま流通させる仕組みのこと

リリースはこちら

D Project Malaysia 2(ディープロジェクト・マレーシア・ツー)

ディープロジェクト・マレーシア・ツーは、マレーシアにおける同社2棟目となるマルチテナントです。2020年9月1日に着工され、延床面積は1万9,966平方メートルとなります。

このプロジェクトは、先ほど説明した「DプロジェクトマレーシアⅠ」が竣工前に満床となったことを受け、第2弾となる「DプロジェクトマレーシアⅡ」に着手しました。

施設の運営管理は、大和ハウスの現地子会社、ダイワハウスマレーシアが100%出資するダイワハウスマレーシア・ロジスティックが担っています。

※リリースはこちら

大和ハウス工業の今後の海外展開

大和ハウス工業が発表する第6次中期経営計画によると、売り上げ計画は4,000億円・また各エリアの強化ポイントもまとめられています。

引用:第6次中期経営計画

ASEANにおいては、住宅・集合は検討セグメント、マンション・建築は重点セグメントとされています。

今後も、同社の展開に目が離せません。

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