こんにちは、不動産のOTOMOです。
2024年もあっという間ですね。AIツールが大いに話題になり、また仕事がものすごくはかどった年でした。
さて、12月ということで、不動産業界の総集編ニュースをまとめました。タイトル通り、統計・宅建・事業・空き家・SNS・DX・マーケティングなどなどです。
不動産業に関わる方のために、一つでもお役に立つ情報をシェアできればと思い、まとめてみました。ぜひご覧ください!
2023年にも総集編を書き、たくさんの方にご覧いただきましたが今年は約2倍の文字ボリュームでパワーアップしております。
では、以下からどうぞ!
目次
2024年の不動産業界、気になる数字などニュース11選
まずは2024年内に発表された数字の中から私が気になった数字です。
全体の市況感や統計などをみていきます。
令和5年度合計の新設住宅着工戸数
令和5年度の新設住宅着工戸数は 819,623戸でした。
この数字は前年比で4.6%減となり、3年ぶりの減少になりました。
令和6年度は経過中ですが、持家は11月度の発表では35ヶ月ぶりの増加となりました。
新設住宅着工戸数・空き家数の2040年以降予測
野村総合研究所の調査によると、2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少する見込みです。
2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通しで、広義のリフォーム市場規模は、2040年には8.9兆円に達する見込みです。
予測ではありますが、新設住宅着工戸数が減少し、空き家が増えるトレンドは変わらないでしょう。
これらの課題をビジネスチャンスと捉えていきたいですね。
令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果
宅地建物取引業者数は10年連続で増加し、令和5年度末の業者数は約13万業者となりました。
宅地建物取引士の新規登録者数は近年増加傾向しており、総登録者数は約 118 万人となりました。
不動産仲介業の倒産動向
帝国データバンク調査では、2023年に発生した不動産仲介業の倒産は120件で前年(69件)から7割増と大幅に増加しました。賃貸マンションやアパートの仲介・管理を手掛ける「街の不動産屋」の倒産が急増している。
年間の倒産件数として過去最多を更新しました。
背景には、物件紹介数の減少や企業の転勤見直しなども影響しているとみられています。
社長の平均年齢60.5歳 33年連続上昇となりました
こちらも帝国データバンク調査です。社長の平均年齢は60.5歳 33年連続上昇しました。
2023年時点の社長の平均年齢は60.5歳でした。前年を0.1歳上回り、33年連続の上昇で過去最高を更新。
業種別で見ると「不動産」が62.6歳で最も高く、なかでも「貸事務所」「貸家業」などでは特に高齢化が目立つ結果になりました。
また、社長の年代別構成比を見ると、30代が2.9%と少数であることがわかります。50歳以上社長の割合も年々増加しており、不動産業界の社長平均年齢も引き続きウオッチしていきます。

建設業の倒産
3連続です。建設業の倒産は、8年ぶりに1,600件超、前年比38.8%増となりました。
前年比38.8%増は、リーマン・ショック期を上回り2000年以降で最も大きな増加率 ・建設コストの上昇が背景です。
2024年問題で今後さらに倒産増加の可能性も出てきました。
リフォーム費用高騰、大工就業者数の人手不足
持ち家のリフォーム費用が大幅に上昇しています。住宅リフォーム費用上昇は4年で15%、大工不足などが響きます。屋根や外壁、水道などの修繕は2020年比で15%前後高い。
リフォームを求める潜在需要は拡大しているが、人手不足などで、費用の高騰に歯止めがかからない状況となっています。
国勢調査によると、木造住宅の担い手である大工就業者数は、令和2年に約30万人と、20年間で半減しており、慢性的な人手不足が続いています。

2025年「大相続時代」に備え、家じまい調査
2025年「大相続時代」に備え、オープンハウスとLIFULL HOME’Sが「家じまい」に関する共同調査。
2025年は団塊世代が75歳以上になり、「大相続時代」の幕開けとなります。
家を売却しようとしたきっかけや売却方法など、さまざまな調査結果がわかります。
こちらは関連記事です。ご興味のある方は合わせてご参考ください。
主要不動産流通各社の2024年度上期仲介実績
不動産流通研究所さんが発表した主要不動産流通各社の2024年度上期仲介実績です。
23社中、手数料収入を増やしたのは18社。中でも10社が2桁増を記録しました。
以下、23社のリストです。

令和6年度宅建試験
令和6年度の宅建試験の速報です。
- 一般申込者: 申込者 245,993人 / 受験者 191,708人 / 受験率 77.9%
- 登録講習修了者: 申込者 55,343人 / 受験者 49,346人 / 受験率 89.2%
- 合計: 申込者 301,336人 / 受験者 241,054人 / 受験率 80.0%
実際には、合格ラインは37点、合格率は18.6%となりました。
その後に、宅建2024年の合格者概要が発表されました。
合格者の中でも不動産業は30%という結果に。多種多様な業界や立場の人が受験する試験です。
不動産の囲い込み、処分の対象に
国土交通省は取引の透明性を高めるために、宅建業法の通達を改正しました。
「囲い込み」とは、売却依頼のあった物件を他社に紹介せず、売り手と買い手の双方から仲介手数料を取ろうとする行為です。
2025年から囲い込みを確認すれば是正の指示処分対象となります。
この規制によって不動産の流通がどのように変化していくのでしょうか。
さまざまな意見や見方がありますが、注目しておきたい流れです。
不動産DX・不動産テック関連ニュース8選
不動産DXや不動産テックについてのテーマです。
不動産テック市場
矢野経済研究所さんの調査です。
2022年度の不動産テック市場規模は前年度比21.1%増の9,402億円と推計されました。2030年度にはさらに増加するとみられています。
- 市場概況:2022年度の不動産テック市場規模は前年度比21.1%増の9,402億円と推計。B to C向け市場規模は前年度比20.1%増の7,138億円、B to B向け市場規模は同24.7%増の2,264億円 2030年度には2022年度比で約2.5倍の2兆3,780億円に拡大すると予測
- BtoC領域 :2030年度には2022年度比で約2.6倍の1兆8,600億円を予測 。住宅ストック数や中古住宅流通市場の拡大を背景に、不動産マッチングサービス市場の拡大などがB to C領域の市場拡大に貢献するものと考える。
- BtoB領域 :2030年度には2022年度比で約2.3倍の5,180億円を予測 。政府による電子化推進政策などの後押しもあり、今後、主に不動産仲介・管理業務支援や価格査定支援市場の拡大などがB to B領域の市場拡大に貢献するものと考える。
【最新版】不動産テックカオスマップ第10版公開
一般社団法人不動産テック協会さんによる「不動産テックカオスマップ」が公開されました。499サービスが掲載されています!
不動産テックサービス1年間の傾向、不動産クラウドファンディング企業数が81社に増加しました。
▼拡大したカオスマップ

以下のグラフを見ると、年々カテゴリーの変遷も激しくなっています。
絶対数自体は増えており、新しいサービスがどんどんできる一方、競争も熾烈なジャンルです。
9版からは生成AIもカテゴリができており、今後この領域の増えると推測されます。

その中でも特にSNSやAIについては気になるテーマです。
SNSに関するアンケートでは、Instagramの活用が多く、次いでLINE、活用していない、が多かったですね。
私自身が実感するところとして、SNSを用いる効果は企業でも個人でも絶大で、広告だけでは実現できない成果をたくさん得ることができています。始める前はまったくのゼロだったので、今後もSNSを上手に利用していきたいです。
電子契約の利用有無調査、不動産会社の利用経験が過半数に
いえらぶさんの調査です。
電子契約の利用経験がある会社は昨年の34.1%から55.5%に増加しました。
賃貸仲介会社では80%を超えるなど、全業種で増加しました。
また、エンドユーザー側の電子契約利用率が2023年の9.1%から18.0%に倍増。SMSやメールを介する「実は電子契約」を含めると、22.5%のエンドユーザーに利用経験あり。

年齢別に見ると、昨年と比べると中高年齢層の利用率が増加。
特に40代が4.4%から21.7%と約5倍に増加。
また、昨年と比べ「見づらかった」「メールやSMSが届かず不安」といった回答が半減。

また、電子契約の利用経験がある会社は昨年の34.1%から55.5%に増加。
賃貸仲介会社では80%を超えるなど、全業種で増加。管理会社では、管理戸数が増えるほど利用割合が高い。

さらに詳細のデータはこちらで確認できます。
年間54万枚の紙削減
三井不動産レジデンシャルリースさんの事例です。年間54万枚の紙の削減、契約時間の短縮など、インパクト大きいですね。契約にかかる時間「60→15分」に短縮も 不動産取引のデジタル化がもたらす効果とは?
アパマンがMBO DX投資迅速化
アパマンさんがDX投資を迅速化するというニュースです。
当社は、不動産賃貸仲介業界の質的向上やIT化を目指して、統一のブランドのもとに全国の不動産賃貸店舗をフランチャイズチェーン化するために設立されました。
私も知りませんでしたが、1999年12月 「マップシステム」、「ウェブ日報分析システム」を開発したところから始まっています。
アパマンさんのDXについては、以下の記事でまとめましたので、是非ご覧ください。

物件情報、仕様異なってもAIで定型化 福岡のOHI
不動産の仲介・管理を手掛けるオー・エイチ・アイ(OHI、福岡市)が人工知能(AI)を活用し、不動産会社によってフォーマットや用語がバラバラだった物件資料を自動で定型化する技術を開発。
今回の記事となった、オー・エイチ・アイさんは、福岡の会社です。
具体的にはAI/OCR技術を活用した不動産情報資料の自動作成機能と、顧客のニーズと物件を最適にマッチングさせる「Brokerage Supporter」システムが2024年4月に完成・導入したとのことです。
導入の経緯を見ると、数々の不動産DXソリューションを試みてきましたが、既存のシステムではまだまだ時間の短縮に至らず、導入が難航したとの記載がありました。
理想とするシステムを作るには、自社で突き詰めていくしかないですね。
「不動産業界のDX化に貢献していきたい」という熱い思いをお持ちで、今回実現に至ったとのこと。
今後も注目していきたい企業さんです。
生成AI活用、建設・不動産は9.4% 約6割「予定なし」
帝国データバンクは8月1日、企業の生成AIの活用状況について調査した結果を発表しました。
有効回答企業数は4705社。中でも建設・不動産業は9.4%にとどまりました。
「活用していないが検討中」は26.8%、「活用しておらず予定もない」は48.4%と半数近くにのぼった。
有効回答企業数は4705社で、生成AIを業務で活用している企業は17.3%でした。
業種別では、IT企業などを含む「サービス・その他」(28.0%)が最も活用割合が高く、最新テクノロジーやツールに対してのイノベーターやアーリーアダプターが多く存在することが要因と考えられます。
一方「建設・不動産」(9.4%)、「運輸・通信」(10.4%)では活用が進んでおらず、「予定なし」が約6割にのぼりました。

なお、活用の用途は情報収集や文章の要約、企画のアイデア出しが多いようです。

皆さんは生成AIを利用されていますか?
不動産業で活用されている方がいらっしゃればぜひ教えてください。
おとり物件について
LIFULLさんの調査です。「おとり物件」に対する不動産会社の対応実態調査&消費者への認識調査。
調査によると、おとり物件が発生しやすいのは不動産業界の繁忙期(1〜3月)と重なることが明らかになりました。
サマリーは以下の通りです。
- おとり物件が発生しやすいのは1~3月=不動産業界の繁忙期
- 9割超が業界の課題と捉える一方、3割が対策していない/不十分と回答
- 広告掲載取り下げを阻む要因第1位は「人手不足」
- 広告掲載取り下げが手動であることを明確に知っている一般消費者は1割
特に広告掲載取り下げを阻む要因の「人手不足」は、今後DXやシステムの仕組みでのアプローチも予想されます。

不動産SNS・マーケティング関連ニュース5選
不動産業界では、SNSはどのように活用されているのでしょうか?
不動産会社目線でのSNS活用についての話題を取り上げました。
住宅購入、4人に1人がインスタ情報収集 ハウスドゥ調査
ハウスドゥさんの、第2回不動産売却・購入に関するインターネット調査です。
不動産の購入にもSNSでの情報収集が定着しつつあります。
本調査によると、自宅購入者の4人に1人がインスタグラムを利用して情報収集した結果になりました。
SNS等の情報手段としては以下です。
- インスタグラム:24.7%
- ユーチューブ:23.5%
- X(旧ツイッター):21%
▼他の情報手段
- 知人や友人の口コミ:25.8%
- チラシ:17.6%
年代別では40代はユーチューブ、20代はインスタグラムが最も多かったとのこと。
【不動産業界のDX推進状況調査 2024】不動産テック企業7社・不動産メディア共同企画
不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞社さんが「不動産業界のDX推進状況調査 2024」のアンケートを実施しました。

その中でも特にSNSやAIについては気になるテーマです。
SNSに関するアンケートでは、Instagramの活用が多く、次いでLINE、活用していない、が多かったですね。
Instagramが40.6%、LINEが40.3%、YoutubeやXは2割以下の結果でした。
一方活用していない企業の割合は36.3%と3割を超えています。(n=1320)
活用目的は「自社サイトへの集客のため」が56.1%、「SNS経由のお問い合わせを増やすため」39.1%でした。(n=839)
私自身が実感するところとして、SNSを用いる効果は企業でも個人でも絶大で、広告だけでは実現できない成果をたくさん得ることができています。
始める前はまったくのゼロだったので、今後もSNSを上手に利用していきたいです。
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」 調査結果
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」 調査結果、2024年版が発表されました。
物件契約に至ったユーザーの行動・特徴など、不動産情報サイトの利用者動向を知ることができます。
例えば、不動産情報サイトで物件を探す際に必要だと思う情報は?という項目では、
居室・リビングの写真が全体でトップとなりました。売買や賃貸などでも違いがあるので、サイト運営に関わる方や経営者の方などのヒントになると思います。

詳細はこちらからご覧いただけます。
不動産相続に関する調査
翌週4月1日から始まる相続登記の義務化。
「知っている」と答えたエンドユーザーは26.7%、売買仲介会社の78.9%と認知度に大きな差が出ました。
さらに賃貸管理会社は60.4%、賃貸仲介会社は47.2%と業種で差が出ているのも興味深いところです。
売買の業務では、不動産売却のきっかけが相続であるケースも多いので、現場でも触れる機会が多く、必然的に話題になります。
実際に、不動産相続の相談が増えているか?という問いに対しては、売買仲介の過半数が増えていると回答し、今後もますます増えることが予想されます。

相続発生推計駅別ランキング
65歳以上の人口と持ち家世帯の比率から、相続が発生する人数を駅別に推計したランキング。興味深いデータです。
相続予備人数とは、65歳以上人数×持ち家比率。
ローカルですが、関西ですと以下の表で相続予備人数順として並んでいます。(私は大阪なので、関西のデータに興味があります笑)

空き家関連ニュース11選
今年も空き家に関するニュースや話題がたくさんありました。
「放置空き家」20年間で1.8倍
「放置空き家」20年間で1.8倍 空き家率は最高13.8%
住宅・土地統計調査の5年ぶりの最新データでした。
空き家の割合は過去最高の13.8%で、18年の前回調査から0.2ポイント上昇。空き家の数も5年間で50万戸増の899万戸と過去最多になりました。
上記の数字はすべての空き家を指しますが、実際に賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家(居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など)は、385万戸となりました。
「空き家」の定義を意識する必要があります。

外国人のSNSインフルエンサー
外国人のSNSインフルエンサーたちの間で、安価な空き家を購入して改装することが大きなブームになっているようです。
空き家購入がフォロワー増にもつながるという発想は面白いですね。
BBC News Japanの動画を以下からご覧ください。
他メディアでも海外の方が日本の空き家を購入するという記事が目立ちました。今後のトレンドになる可能性があります。
AIで空き家判別
AIで空き家判別するシステム。
私もこれまで住宅地図やマイマップ等で散々試行錯誤してきました。空き家かな?と思っても実際に空き家でないこともよくありますし、現地確認はもちろんのことなのですが。
リアルタイムで情報を取り続けるには、定期的な調査も必要なので、このあたりをAIで網羅できたらすごいことになりそう!と妄想膨らむニュースでした。こういう柔軟な発想、そして実行ができるようになりたいものです。
空き家が社会問題化…関心高まる0円物件、解体のマッチングサービス
空き家が過去最多となる中、解決への一歩となる新たなサービスに注目が集まっています。
今回取り上げられていたのは「みんなの0円物件」という空き家のマッチングサイトとバリュークリエーションさんが運営する「解体の窓口」です。
みんなの0円物件については、以前こちらの投稿でも取り上げていました。
解体にかかる費用を抑えるマッチングサービス「解体の窓口」は、解体を希望する空き家の情報を入力すると、複数の解体業者が見積もりを提示。
コンシェルジュのサポートを受けながら業者を選択できる仕組みで、サービス開始から4年で約3万人が登録しているとのことです。
サイトはこちらから
放置空き家流通へ仲介料引き上げ
国土交通省は放置空き家の市場流通を後押しするため、不動産業者が受け取る仲介手数料の上限額を18万円から30万円へ引き上げました。
低廉な空家等の媒介報酬規制が見直されました。
空き家等の流通促進のためのビジネス上の課題から、報酬の上限についての見直しです。
低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して、原則による上限を超えて報酬を受領できる(30万円の1.1倍が上限)。

隠れ空き家の取引推進 放置防止へ国が判定システム
このシステムは自治体が持つ上水道の使用状況をもとに、空き家である確率をパーセント表示する方向です。
本システムは、国交省の分野横断DX推進プロジェクト「Project LINKS」の一環のオープンデータです。公開されているWebサイトには以下のような記載があります。
全国的な空き家の増加が課題になっていますが、その実態把握は容易ではありません。
国土交通省、地方公共団体及び民間事業者が保有する建築物ポリゴンデータや水道、住民基本台帳等の既存データを活用し、機械学習アルゴリズムにより建物単位で「空き家」かどうかを推定し、その結果をGISデータとして出力可能なシステムを構築します。開発したシステムをOSSとして公開することで、行政の空き家対策への横展開や民間の空き家活用サービスの創出を促進します。
現状空き家の発掘には行政や民間含め、あの手この手を尽くしていますが、この取り組みが導入されることで新たな活用案が誕生しそうです。
空き家関連ローンが増えている?
空き家に関連するローンを「取り扱っている」金融機関は48.8%
実際、どのようなローンか内訳を見てみると、空き家解体に関するローンがダントツで多いようです。ついで、リフォーム、取得+リフォーム。
不動産会社の立場で行けば、空き家取得後の出口が難を極めるところです。一方、一般の方でも空き家取得にローンを使いたいニーズもあるので、普及すれば、空き家の流通も加速していくのではないかと思っています。

ヤモリさんが地方で戸建を購入し、修繕したうえで賃貸する事業を開始
ヤモリさんが地方で戸建を購入し、修繕したうえで賃貸する事業を開始しました。
優良物件をデータで掘り起こす取り組みなど、今後の展開が非常に気になります。
投稿で取り上げたのは日経新聞の記事ですが、翌日10億円調達のリリースも発表されていました。
先程の空家ローンの章でも少し触れましたが、これにより投資家の出口戦略も確保され、中古物件の賃貸業が活性化されます。
日本初の空家賃貸ファンドということで、今後の先行きが非常に気になるニュースです。
ヤモリは今回の10億円の資金調達により、全国の中古戸建物件を購入出来る事に加えて、会員生徒が購入してリフォームした物件をヤモリで買取り、運用管理することも可能となりました。これにより空き家問題の解決だけでなく、会員生徒は出口戦略を取ることが難しいとされた中古物件の賃貸業に取り組みやすくなり、投資回収期間を短縮化できます。
また、国内外の機関投資家や個人投資家を呼び込み、三菱UFJ信託銀行と協業して日本初の空き家賃貸ファンドの組成を目指します。ヤモリは今回調達した10億円に加えて三井住友銀行及びみずほ銀行、さらには各地域の金融機関からの借入を活用することで、今後5年間で全国の地方都市エリアを中心に7,500件の中古戸建物件を取得して運営管理していく計画です。ヤモリ、10億円を資金調達、日本初の空き家賃貸ファンド組成目指す
「郵便局の空き家みまもり」が全国展開
2023年から試行していたサービスを事業化し、2025年1月以降に全国対応へ。
郵便局社員が、空き家物件へ訪問して外観の状況や戸締まりなど7つの項目を確認し、確認結果について写真付きの報告書をメールで送付するサービスです。
自分たちの地域から空き家をなくす新サービス「空き家応援団」をリリース
家いちばさんが「空き家応援団」なるサービスをリリースされました。
仕組みはこのようになっています。
家いちばのウェブサイト上で「空き家応援団」として登録(無料)すると、団員専用の管理画面(マイページ)が利用できるようになり、そこから、空き家所有者に「家いちば」を直接紹介したり、チラシやポスターを使った掲載促進活動を行ったりできるようになります。紹介された空き家所有者が「家いちば」に物件を掲載し、最終的に成約(売買)となれば、応援団に「お祝い金(1万円分のギフト券)」が付与される仕組みです。
プレスリリースより
想定利用者は、地域や商店街の振興を考えている関係者などを想定しているそうです。
地域で空き家を何とかしたい!コミュニティを作っていきたい!という方は私も仕事で直接関わっているので、実際にやってみたい方の多さを肌で感じています。この応援団という仕組みはいいなと思いました。
家いちばは、不動産の売り手と買い手が直接交渉をするユニークなサイトです。サイトも是非覗いてみてください。
住まいのエンディングノート
国土交通省は空き家対策の一環として「住まいのエンディングノート」を作成しました。
放置空き家の発生を防ぐため、情報を伝えていくことや、将来を家族で話し合うきっかけとすることが狙いです。
家系図や建物・土地の所有状況に加え、今後どうしたいかの情報を住まいの所有者が記入できるものです。
PDFはこちらです!
不動産業界の採用・働き方関連ニュース8選
続いて、不動産業界の採用市場や働き方に関連するニュースです。
2023求人検索キーワードトップ30
年収750万円以上のビズリーチ会員の求人検索キーワード、ということです。
9位に不動産というキーワードが入っており人材の流動性が高まっているという結果になりました。
9位に「不動産」、22位に「自動車」、24位に「銀行」、26位に「食品」がランクインしました。これらのワードは、その業界に属している会員による検索傾向が強く見られたことから、業界内における人材の流動性が高まっていると考えられます。
ビズリーチ プレスリリース
パーソルキャリアが発表した2023年12月の「doda転職求人倍率」によると、3.22倍となり、初めて3倍を超えました。
不動産業の転職意向、45.6%
SUUMOリサーチセンターさんの調査結果です。
動産業界は人材の確保が難しい業界といわれており、不動産業界で働く人の転職意向は45.6%とのことです。
全産業の平均の41.4%を上回っており、転職回数も2~3回と多い結果に。
住宅建設業界 平均勤続年数ランキング 2024年
リビンマガジンさんの調査です。住宅建設業界、平均勤続年数ランキングです。
1位は長谷工コーポレーション、2位はサンヨーホームズ、3位は積水ハウスでした。
さらに詳しいランキングは以下のリンクからご覧いただけます。
2024年問題で求人・年収増加、「不動産・建設・設備」求人伸び率トップ
2024年問題で「不動産・建設・設備」の求人伸び率がトップとなりました。
「マイナビ転職」さんの調査です。2024年7~9月の正社員求人件数の調査結果によると、業種別で「不動産・建設・設備」が前年同期比で29.6%増と最も高い伸び率でした。
サービス業も日曜・祝日休みに
三井不動産レジデンシャルさんの事例です。24年度から日曜と月曜を店舗の定休日とする制度を導入し、まずは40カ所ある首都圏の販売拠点の一部で導入しいます。
実績を見ながら、全国へ拡大するとのこと。不動産業界の働き方やスタイルも、人手不足に合わせて変わっていきそうですね。
シニア再雇用の新制度 週休3日や時短導入
大東建託、シニア再雇用の新制度、週休3日や時短導入しました。
2024年9月からシニア社員の再雇用について新たな制度を導入します。60歳の定年を迎えた嘱託社員が対象で、週休3日や時短勤務などを認めます。
同社のリリースによると、週休3日の「短縮勤務制度」とグループ会社への「転籍制度」を選択できるようになります。
導入の背景には、2021年の高年齢者雇用安定法が改正されたことにより、70歳までの雇用延長が努力義務となったことが背景にあります。
シニア人材が無理なく快適に働ける制度を導入し、活躍し続けられる職場環境を構築することが目的です。
定年ときまたは定年後に退職を選択した従業員のヒアリングによると、体力面での不安や家族の介護を理由に「短縮勤務制度や転籍制度があれば雇用継続を検討できた」という意見が一定数あったということです。
短縮勤務制度、転籍制度の概要は以下です。

住宅職人6割が外国人 ケイアイスター、日本人と同処遇
ケイアイスター不動産さんは、人材育成・住宅施工を手掛ける子会社ケイアイクラフトと連携して外国人材の登用を加速します。
2012年に外国人社員の採用を始め、施工を担う職人として働く外国人は全体の6割まで拡大しています。
大東建託、育児と仕事の両立支援型店店舗
大東建託リーシングさんの取り組みです。
神奈川の店舗をリニューアルし、通常の店舗よりも営業時間を2時間短くしたほか、土日を定休日にしました。
子育てしながら現場で長く働ける環境を整え、不動産営業でのキャリアアップを後押します。
こちらのプレスリリースでは店舗導入の経緯等も記載されていますのでご参考ください。
企業のユニークな取り組み7選
2024年にXで取り上げた中からユニークな企業の取り組みをご紹介します。
オープンハウスの婚活マッチング
オープンハウスさんが、新居の条件で婚活マッチングを行います。
自分の希望を登録すると、戸建てやマンションなど住みたい家の条件が合う人と出会うことができ、SNSで話題になったサービスです。
積水ハウス、スタートアップに50億円投資 4月CVC設立
積水ハウスさんがCVCを4月に設立されるというニュースです。
2月1日のリリースによると、同日に積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社を設立し、4月にコーポレート・ベンチャー・キャピタル・ファンドを設立するとあります。
この取り組みで、どのようなスタートアップとの関わり合いが出てくるかが楽しみです。
事故物件オーナーをサポートする「オバケ調査」
運営会社は、株式会社カチモードさん。
オバケ調査は、通常22時から翌朝6時までの8時間、現場に張り付いて実施。
調査項目は、映像録画・音声録音・電磁波調査・気温(室温)・湿度・大気圧測定・サーモグラフィ確認・騒音調査など。1時間ごとに現場の数値を確認するといいます。
当社は、建物内で死亡事故が発生した際に所有者や管理会社が対応しなければならない多種多様な業務について、ご協力や支援をおこなう不動産コンサルティング会社です。
そして、ご協力や支援の中でも特に注目するべきは事故物件で実施する「オバケ調査」です。
オバケ調査では大学教授のアドバイスを仰ぎつつ、調査員を不動産物件に派遣し、映像記録、音声録音、電磁波測定、温度・湿度測定やその他必要に応じた調査を最低一晩かけておこないます。
この調査結果を基にした提案は、事故物件ごとの特徴とカチモードならではの経験値を掛け合わせたものとなっており、入居者の持つ心理的瑕疵を解決もしくは軽減させる効果を持ちます。
また、オバケ調査の中で不思議な現象を発見することができた場合には、依頼者に懸賞金を進呈し、その後の運用についても最適な提案をいたします。
さらに、オバケ調査にて不思議な現象を発見できなかったとしても、後に入居者やその関係者がそれを発見できた場合には懸賞金を進呈しますので、懸賞金付きの部屋としての運用が可能となります。
事故物件による資産価値減少を防ぐための体制づくり、これまでにない取り組みに、今後も注目です。
さらに詳細をお知りになりたい方は以下よりご覧ください。
オープンハウスさんが、地方移住コンシェルジュサービス「SUMICA」を開始
オープンハウスさんが、移住先の提案や支援制度、不動産売却や紹介までを行うサービスを開始。
対象は以下のような方とされています。
転勤される方や、ご両親の近くへ移住をされる方、子育てが終わられたり、アーリーリタイアをなさる方の中には、医療やインフラ面では必要十分な都市機能を有しながら生活費が抑えられる地方都市にて、人生のギアチェンジをされる方も多くいらっしゃいます。こうした場合、都心のご自宅を売却することで、ゆとりをもった資金計画での移住を検討することができます。当社グループ会社では不動産の直接買取や売却のサポートも実施しております。プレスリリース
どのような移住先があるのか、どう広がっていくのか興味があります。
セレンディクス、ウクライナ復興へ3Dプリンター住宅
本ブログでも度々取り上げているセレンディクスさんが、ウクライナ復興へ3Dプリンター住宅の建設を目指します。
プレスリリースでは、枠組みを以下のように紹介されています。
当社は現地建設会社と協力し、建築用3Dプリンターで復興住宅の建設を目指します。建築に必要なデジタルデータは当社が設計し無償で提供します。ウクライナでは、そのデータを用いて、協力企業がコンクリートで住宅の部材を出力し、施工してまいります。また防爆試験も行い安全性についての検証も予定しています。6月から始動し、まずは2024年内のプロトタイプの建設を目指し、相互に協力しながらプロジェクトを進めてまいります。プレスリリース
3Dプリンター住宅の活用が普及すると、これまでの住宅の在り方も一変しそうです。
佐世保市とゼンリン 全国初「空き家推定ツール」共同開発へ
空き家推定ツールなるものが共同開発されています。
記事にはこうあります。
ツールは、こうした危険な空き家になる前の段階の物件を迅速、継続的に見つけるために共同開発する。空き家調査の効率的な手法が確立されていない中、包括連携協定を結んでいる市と同社は2022、23年度の2年間、具体的にどういう条件であれば空き家としてカウントできるかを現地調査を交えて研究してきた。
本年度は、同社がこれまで蓄積してきた地図データのノウハウや業務で把握した空き家の位置情報と、市が持つ水道閉栓情報や町内会などから得られた空き家情報を組み合わせ、地図データ上に実際に落とし込んで試作版を完成させる。
空き家の調査は、私も現場に足を運び行っていますが継続的にチェックするのはなかなか骨の折れる作業です。また、そのデータベース制作もパワーがいります。
空き家調査の手法が確立されると、他の行政にも広がっていきそうですが、民間の技術でもアプローチを考えたいですね。
生成AIが不動産売買の相談に対応、不動産情報サイト「ノムコム」で提供開始
自然な対話形式で不動産売買の相談が可能になりました。生成AIが不動産売買の相談に対応します。
野村不動産ソリューションズ株式会社は、2016年から「住まいのAI ANSWER」を提供していましたが、一問一答形式の「アンサー」から発展させ、「ノムコムAIアドバイザー」に名称を変更し、リリースしました。株式会社LIFULLとの共同開発システムになります。
以下のような機能を備えており、幅広い相談に対応できるとのことです。
・物件検索機能 : ユーザーの希望に応じた物件を検索・提案。
・住宅ローンシミュレーション:ローンの返済計画をシミュレート。
・学区情報 : 国土交通省の「不動産情報ライブラリAPI」を利用し、学区情報を取得。
・周辺相場情報 : 国土交通省「取引価格データ」やノムコム「マンションデータPlus」※4利用。
・街検索機能 : LIFULL HOME’S「まちむすび」の実際に街に住む人の声や各種データを利用して希望に近い街を提案。
・間取り図解説 : 画像認識が可能となり、各物件の間取り図についてポイントを説明。
ChatGPTのような見た目で直感的に利用できます。

初めにチャットをする時点では登録などは不要で利用できます。私も質問してみましたが、AIが浸透することで不動産売買の相談方法も一気に変わりそうな予感を感じました。
興味のある方は以下から試してみてください。

住まいのノムコムAIアドバイザー | 野村不動産ソリューションズ
まとめ
以上、2024年の不動産ニュースまとめでした。いかがでしたでしょうか?
政治や経済、先行き不透明ですが、自分ができる最大限を尽くしてやっていきます。
来年も毎日不動産業界と向き合って、業界に貢献していきたい!
気になるニュースも引き続き発信していきますので、よろしくお願いします。
年末に向けて、ブログやXの運営報告もまとめておりますので、そちらの記事で諸々報告します!
残りわずか、やり残したことがないよう過ごしていきたいですね。